稀勢 連日綱破り!白鵬下して客席から異例の万歳コール

[ 2013年11月24日 05:30 ]

白鵬(手前)を豪快な上手投げでやぶり、横綱連破の稀勢の里

大相撲九州場所14日目

(11月23日 福岡国際センター)
 2敗の大関・稀勢の里が全勝の横綱・白鵬を上手投げで破った。連日の横綱撃破で、客席からは異例の万歳コールが起きた。結びの一番で日馬富士が1敗を守ったため、千秋楽結びの一番は賜杯を懸けた両横綱の相星決戦となった。稀勢の里の優勝はなくなったが、7月の名古屋場所以来となる両横綱撃破が評価され、千秋楽の鶴竜戦に勝てば来場所での綱獲りの権利を得ることになった。
【14日目取組結果】

 稀勢の里の力によって優勝27度を誇る白鵬の強さが絶対的ではなくなった時、約7000人の観客が手を上げて歓喜の言葉を叫んだ。「万歳!」「万歳!」「万歳!」。続くこと10回。礼儀を重んじる角界ではご法度の喜び方なのかもしれない。だが、2敗で追う大関の勝利を期待した人々の感情はあふれ出た。それほど、見る者の心をわしづかみにした熱い一番だった。

 仕切りから駆け引きがあった。1回目、そんきょして20秒にらみ合い、立ってから再び17秒。そして「やるならやれという感じだった」と振り返った横綱が先に下を向いた。2回目。今度はそんきょの前に立ったまま28秒視線を合わせ、行司が促すと大関が先に座った。取組後に稀勢の里は「何もなかった」と無の心境を強調。3回目の仕切りで制限時間いっぱい。ケンカ四つの立ち合いを制したのは優勝経験のない大関だった。

 得意の左を差すと右上手を握って「必死に」前に出る。白鵬が捨て身の下手投げを打ったところに体を預けてこん身の上手投げ。連日の横綱撃破で1差に迫り、その時点では優勝の可能性が残された。万歳コールを勝ち残りの座布団で聞き「相撲を取っていて良かった」と素直に喜んでいた。

 直後の結びで日馬富士が勝ち、両横綱が1敗で千秋楽相星決戦を行う展開となったため、初優勝の望みは消えた。それでも、北の湖理事長(元横綱)は「横綱2人に勝つのは大きい。あしたが大事」と千秋楽で鶴竜に勝てば来場所は綱獲りになる方針を明かした。

 過去の千秋楽は苦い思い出ばかりだ。昨年夏場所、今年夏場所では優勝を左右する一番で敗北。両横綱を撃破した翌名古屋場所では勝てば来場所綱獲りという状況で負けた。「あしたはあした」。今度こそ自らへの万歳が無駄ではなかったことを証明する。

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2013年11月24日のニュース