ラグビー吉田氏 プロ野球トライアウトで元オリ梶本スカウト

[ 2013年11月23日 05:30 ]

サムライセブン吉田代表(右)から声をかけられた前オリックス梶本

 プロ野球で戦力外となった選手らを対象とした2回目の12球団合同トライアウトが22日、ナゴヤ球場で行われ、15選手が参加。ラグビー元日本代表で昨季まで明大監督を務めた吉田義人氏(44)が視察した。2016年のリオデジャネイロ五輪から正式競技となる7人制ラグビー。同氏は7人制男子チームを新たに設立することを決めており、早速、オリックスを戦力外となった梶本勇介内野手(29)を「勧誘」した。

 日本ラグビー界が誇る名ウイングの熱弁は止まらなかった。本来はプロ野球界に生き残るための最後のアピールの場となる合同トライアウト。その場でひときわ、熱い視線を注いでいたのが、五輪を目指す7人制ラグビー男子トップチームの運営会社「サムライセブン」代表を務める吉田氏だった。

 「7人制は15人とは全く質が違う。スピード、敏しょう性、体幹の強さの3つを柱に勧誘している。日本では野球選手は小さいころからスポーツエリートで、プロ選手はその中でも一握り。圧倒的にトップアスリートが多いんです」

 たとえプロ野球では大成できなかったとしても、持って生まれた身体能力はスポーツ界では別格。まだ若く、スポーツをなりわいにしようとしている選手が多く参加するトライアウトは、吉田氏にとっても「宝の山」だった。

 中でも目を奪われたのが、オリックスを戦力外となった俊足内野手の梶本だ。「ウオーミングアップからいい動きをするなと思って見ていた。彼の動きは物凄くセブンス(7人制)に向いている。彼には名刺を渡させてもらい、連絡先も伝えました」。チームの入団テストの日程などが記された書類も手渡された梶本は「びっくりとしか言えない。今は野球がやりたいので」と困惑しながらも「そういうことを言ってもらえるのはスポーツ選手としてうれしい」と照れた。

 7人制ラグビーのトライアウトは12月22日に都内で実施される。約10社が新チームの所属選手を雇用する予定で、吉田氏は「(梶本には)もちろん受けてほしい。(リオ五輪に)十分、間に合います」ときっぱり。元プロ野球選手が五輪のフィールドで躍動する姿が見られるかもしれない。

 ◆梶本 勇介(かじもと・ゆうすけ)1983年(昭58)12月18日、大阪市生まれの29歳。専大北上(岩手)では2年夏にエースとして甲子園に出場。01年ドラフト2巡目でヤクルト入りし内野手に転向した。10年オフに戦力外となりオリックス入りするが、今季は1軍出場なし。通算147試合、打率・199、0本塁打、12打点。1メートル75、79キロ。右投げ両打ち。

 ▽日本の7人制ラグビーの現状 16年のリオデジャネイロ五輪から正式種目となることが決まっているが、日本の強化体制は不十分な状況。代表選手は15人制ラグビーの選手から選出されているが、今月行われた「シンガポールセブンズ」の代表12選手のうちトップリーグ所属選手は9人で、15人制の代表キャップ保持者はいない。現在は15人制代表やクラブ、大学でのプレーが優先されている状況で、吉田氏は7人制強化のため受け皿となる組織を立ち上げた。

 ◆ラグビートライアウト 12月22日に都内で実施。応募資格は1998年4月1日以前生まれの男性でラグビー経験は不問。締め切りは12月8日。応募方法は「サムライセブン」のホームページで。

 【過去の他競技の勧誘】
 ☆07年格闘技 総合格闘技イベントK―1の谷川貞治プロデューサーが視察し、一塁側スタンドから熱視線。「どの選手も魅力的。プロ野球選手がエリート集団ということが分かった」。この時は元ロッテで格闘家に転向した立川隆史も同行した。

 ☆08年競輪 元競輪界のスーパースター・中野浩一、滝沢正光両氏が視察。日本競輪学校の広報活動の一環としてパンフレットを持参し、選手のセカンドキャリアを支援するNPB側も専用ブースを用意。「身体能力の高さはプロ野球選手が頂点」と話し、翌08年も姿を見せた。

 ☆12年大相撲 大相撲の峰崎部屋が、トライアウト参加者に入門者募集のビラを配布。野球好きの行司・木村堅治郎さんの発案で、入門条件は(1)23歳未満(2)1メートル67、67キロ以上。「可能性がなくても募集する価値はある」としたが、希望者はいなかった。

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