真央 アクセル全開 SP首位!初づくしでラストシーズン最高発進

[ 2013年10月21日 06:00 ]

スケートアメリカで、女子SPで首位発進した浅田真央

フィギュアスケートGPシリーズ第1戦スケートアメリカ第2日

(10月19日 米ミシガン州デトロイト)
 いきなり70点超えだ。女子ショートプログラム(SP)で、今季限りでの現役引退を表明している浅田真央(23=中京大)が、自己4番目となる73・18点のハイスコアをマーク。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に着氷し、06年スケートアメリカ以来、7年ぶりにGP初戦のSPで首位に立った。男子フリーではSP首位の町田樹(たつき、23=関大)がトップの174・20点を出し、世界歴代5位となる合計265・38点でGP2勝目を挙げた。

 柔らかいピアノの旋律が終わると、浅田が笑みを浮かべて小さく何度もうなずいた。苦手意識があったSPで、自己4番目の73・18点をマーク。出遅れが多かったのは、もう昔の話だ。「GP初戦のSPで良い演技をしたことがあまりなかったけど、まずまずの演技ができて、今季はいいスタートが切れたんじゃないかなと思う」とラベンダー色の衣装で舞った2分50秒を振り返った。

 今季SPは7季前にも使用したショパンの「ノクターン」だ。「初恋」をテーマに据えたプログラムで、いくつもの胸ときめく初体験があった。冒頭のトリプルアクセルは着氷がやや乱れたが成功。「(アクセルは)練習でも悪くなかったので、そのままいこうと思っていた」。シーズン前半に開催されるGPシリーズのSPで大技を決めるのは初。GPでの70点超えも初。基礎点が1・1倍になる後半に、3―2回転のコンビネーションに挑んだのも初めてだ。

 昨季は6試合目の四大陸選手権までトリプルアクセルを封印したが、今季は初戦だった5日のジャパン・オープン(フリーのみ)から投入。10~11年シーズンに佐藤信夫コーチ(71)に師事して以降、基礎から見直してきたジャンプが、五輪シーズンに完成の域に達しようとしている。「1年や2年、時間がかかるのは分かっていた。やっと自分の体に染みついてきた。今でも失敗も成功もあるけど、“こうすれば大丈夫”というのがある」と手応え十分だ。

 浅田にとってトリプルアクセルは、初めて決めた小学6年の時からこだわってきた代名詞の大技。「アクセルに惑わされたくないけど」と笑いながら前置きした上で「最初に決まると乗ってくるし、見せ場だし、自分の強み」と言い切った。現役ラストとなる集大成のシーズンは、序盤からアクセル全開。圧倒的な強さと存在感が今季の浅田にはある。フィニッシュでスラリと伸ばした右腕の先には、黄金に輝く未来が見えたに違いない。

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