登坂 雪辱の金1号!リオへ東京へ新星 女子48キロ級

[ 2013年9月20日 06:00 ]

女子48キロ級を制した登坂は金メダルをかみながら笑顔

レスリング世界選手権第3日

(9月18日 ブダペスト・スポーツアリーナ)
 20年五輪へ、新星が飛び出した。18日の第3日の女子48キロ級決勝で登坂絵莉(20=至学館大)がマエリス・カリパ(ベネズエラ)をテクニカルフォールで下し、初優勝。世界大会で初の金メダルを日本に届けた。同52キロ級の宮原優(19=東洋大)は2回戦敗退。男子フリー74キロ級の高谷惣亮(24=ALSOK)は敗者復活最終戦で敗れ、男子フリーは07年大会以来6年ぶりにメダルなしに終わった。

 涙のない晴れやかな笑顔が、一年の努力を物語っていた。今大会で日本勢初となる決勝の舞台。「ここで負けたら去年と同じ。絶対勝つしかないと思っていた」。開始早々に左脚への片足タックルを決め2点を先制すると、相手タックルをかわしてバックに回り追加点。さらにローリングを決め、再びタックルからバックに回った。わずか1分44秒。7点差をつけ、テクニカルフォールで決着をつけた。

 1年前、初の世界選手権決勝は涙で終わった。内容でリードして迎えた試合終了間際に相手に押し出され逆転負け。微妙な判定でもめたが「今考えれば、決勝に行った時点で満足していた」と振り返る。その敗戦の悔しさこそが成長の源だった。栄和人監督が「日本チームで一番練習してきたのが登坂」と認める猛練習で、次のステージへ進んだ。課題とされたパワーもアップし、ベンチプレスのMAXは55キロから65キロまで10キロ増えた。

 高校時代に国体を制した経験を持つ父・修さん(49)が兄・直人さん(23)を通わせようとしたレスリング教室で「私が入る」と言い始めたのが9歳のとき。この日もスタンドで見守った修さんは「とにかく負けず嫌いで努力家。今回の優勝で初めて五輪という目標が見えてきました」と目を細めた。

 日本を出発する前日の13日。尊敬する吉田沙保里に誘われ、名古屋市内の美容室で初めて吉田と同じ“勝負ヘア”のコーンロウにした。「吉田さんはいいけど、私がしたらかっこつけみたいで恥ずかしかった。でも、それで逆に負けられない気持ちにもなった」と笑った。

 48キロ級は国際連盟の新階級案でも残る見込み。ロンドンで金メダルを獲得し引退した小原日登美さん(自衛隊)の後継者として世界に名をとどろかせた20歳は「今回は(五輪翌年で)強い選手も出ていない。まだ日登美さんとはレベルが違う。だから、自分は追われる立場じゃなくて、まだまだ追いかける立場です」と冷静だ。だが、栄監督は「何でもできるオールラウンダーという意味では吉田や伊調以上。今回の優勝で16年リオまで突っ走る可能性は高くなった」と手放しで喜んだ。 

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