遠藤 黒星発進も大物の予感「プロはあしたもある」

[ 2013年9月16日 06:00 ]

寄り倒しで豊真将(右)に敗れる遠藤

大相撲秋場所初日

(9月15日 両国国技館)
 昭和以降最速となる初土俵から所要3場所で新入幕を果たした遠藤(22=追手風部屋)は元小結の豊真将(32=錣山部屋)に寄り倒され、黒星発進となった。この日も大声援を浴びるなど人気急上昇も、土俵上ではいきなりプロの厳しさを味わうことになった。白鵬(28=宮城野部屋)、日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)の両横綱と4大関はそろって勝ち、上位は2場所ぶりの初日安泰だった。

 しこ名は本名のままで、髪はざんばら。スピード出世の象徴ともいえる2つの要素を備えた遠藤は初日から特別扱いだった。幕内土俵入りでは誰よりも多くの声援を浴び、取組直前の土俵上でも「歓声が多く、これが幕内の相撲かと思った」と本人が驚くほどの応援を受けた。帰り際にはファンのサイン攻めで真っすぐに歩けない。それほど遠藤に対するファンからの期待は高いが、すぐに結果は出なかった。

 幕内最初の相手はかつて同じ日大相撲部に所属していた大先輩、豊真将。9学年も年上の元三役について「かぶってないから分からない」と話したが、現実は甘くなかった。立ち合い強く当たって突っ張りで自らの形をつくりかけたが、重心低く反撃してきた相手に深く左を差されて万事休す。握っていた右上手を離されると、そのまま土俵外まで寄り倒された。

 注目される度に「いろんな人からいろんなアドバイスをされる」と明かすが、心がけているのは絶対に自らのペースを貫くこと。食べたい物を食べるし、寝たい時に寝る。聞き入れるのは師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)の意見だけで、場所前も出稽古を行わずに若い衆と調整。学生時代から一貫して「今を着実に」という現実主義で生きてきた。かつて「監督が代わったからといって考え方を左右されてもしようがない」と話していた楽天の田中将大と考え方が似ているそうで、場所前には「比べられないですけど…。プロの世界に入ってフォームを直してダメになった選手もいますからね」と自分を貫く大切さを説いた。

 日本人ホープは乱れた髪を支度部屋で整えてもらうと「しようがない。負けは負け。プロはあしたもある」。ほろ苦い幕内デビューとなったが、史上最速所要3場所入幕の22歳は切り替えの早さもNo・1だった。

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2013年9月16日のニュース