相撲協会が“おもてなし” 五輪に協力 異例の名古屋場所前倒しも

[ 2013年9月11日 06:00 ]

会見を終え、報道陣の前で「おもてなし」のポーズをとり笑顔を見せる滝川クリステル

 日本相撲協会が異例の本場所前倒しで、20年東京五輪への全面協力に名乗りを上げた。56年ぶりに東京で夏季五輪が開催されることを受け、八角広報部長(元横綱・北勝海)は10日、「今回も全面的に協力させていただきたい」と明言。98年長野五輪でも横綱土俵入りや各国の入場行進の先導役を関取衆が務めるなどしてスポーツの祭典に彩りを添えたが、7年後の7月24日に行われる五輪開会式に向け、早くも20年7月の名古屋場所(愛知県体育館)を1週間早める可能性が出てきた。

 7年後の東京五輪は日本が誇る文化を披露するには絶好の機会となる。開会式だけでも世界で30億人以上がテレビで見ると言われるだけに、相撲協会の八角広報部長は「外国から来られた方は日本の伝統文化に触れたいと思う。その文化を守ってきたのが相撲協会。五輪成功に向け、全面的に協力させていただきたいと思っています」と約束。今後、東京都や関係省庁から開会式参加などの要請があった場合には一丸となって協力する方針だ。

 そこで懸念されるのが7月の名古屋場所と五輪の開催期間の重複だ。名古屋場所は原則として第2週日曜日に初日を迎え、第4週日曜日に千秋楽というのが一般的だが、7年後も同じ流れになれば、場所終盤の3日間と五輪(7月24日~8月9日)の日程が重なる。NHKの放送にも影響が及ぶこともあり、場所を1週間前倒しして5日から19日になることが濃厚。00年シドニー五輪の際は秋場所と重なったため初日を1週間後に変更しており、相撲協会関係者も「前倒しにする可能性は十分にあると思います」と話した。

 前回の国内開催となった98年長野五輪では開会式の演出を担当した浅利慶太総合プロデューサー(演出家)から「日本文化のアピールとして大相撲の力士は欠かせなかった」と要請を受け、快諾。関取衆が各国の入場行進の先導を務め、幕内力士と横綱・曙が土俵入りを行った。開会式、閉会式への参加はもちろん、両国国技館はボクシングの会場になることが決定しており、大銀杏(いちょう)を結った力士が事前にPRを行う可能性も考えられる。

 7年後に35歳となる白鵬は既に横綱土俵入りを行うことを切望。その頃に29歳で力士として脂が乗る年齢となる日本人ホープの新入幕・遠藤(22=追手風部屋)は土俵入りができる横綱という地位について「かけ離れ過ぎていてあんまり考えられないけど、今で満足しているわけじゃない」と謙虚ながらやる気を見せた。新三役の高安(23=鳴戸部屋)、人気力士の舛ノ山(22=千賀ノ浦部屋)ら遠藤の他にも平成生まれの有望力士が将来の主役を目指し、しのぎを削る。56年ぶりの東京五輪。伝統文化の担い手である力士たちの役割も大きい。

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2013年9月11日のニュース