安倍首相 汚染水問題なし強調「東京にダメージは一切ない」

[ 2013年9月8日 06:00 ]

紹介されて手を振る安倍首相

 2020年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)の総会が7日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで始まり、IOC委員による投票を前に、イスタンブール、東京、マドリードの順で最終プレゼンテーションを行った。東京は東京電力福島第1原発の汚染水問題で逆風となる中、最後の最後まで一致団結して開催意義をアピールし続けた。

 イスタンブールに続いて行われた東京の最終プレゼンテーションでは、冒頭で高円宮妃久子さまが流ちょうなフランス語と英語で約5分間、スピーチされた。「2011年、大きな地震、そして津波の体験をしました。国際オリンピック委員会の関係者の皆さまには深い同情の念を表していただきました。私どもは、それに対する感謝の気持ちは一生忘れません」と被災地支援への謝意を伝えた。

 パラリンピック女子走り幅跳びの佐藤真海は登壇者を紹介。その後、2度のパラリンピックに出場した自らの経験と、出身地の宮城県気仙沼市が東日本大震災に襲われた被災者としての思いを語った。招致委の竹田恒和理事長、水野正人副理事長、猪瀬直樹都知事らが開催計画や財政保証について説明。招致アンバサダーの滝川クリステルは「財布を落としてもそのまま戻ってくる」と日本人の親切心とおもてなしの精神を紹介した。

 太田雄貴に続いて登壇したのは安倍晋三首相。懸念材料となっていた東京電力福島第1原発の汚染水漏れで「政府のコントロール下にあり、東京にダメージは一切ない」と説明した。招致委員会内部では最後まで汚染水問題に触れるべきかどうかの議論があったという。IOC委員の中には「あえて持ち出すことはない」という意見もあった。しかし、招致委員会幹部は「政府として安全を保証しなければいけない。触れない作戦もあっただろうが、一言でも触れるべきと考えた」と経緯を語った。

 直後の質疑応答でも質問が出たが、安倍首相は汚染水の濃度などを説明しながら「現在も将来も全く問題はない。解決に向けたプログラムを決定し、既に着手した」と訴えた。

 安倍首相はプレゼンを前に「初めての経験なので相当練習した。オールジャパンで気持ちを一つにしていい結果を出したい」と語っていたが、大役を終えると「汚染水漏れの不安は払しょくできた。一部の誤解は解けた」と話した。その他の登壇者にとっても何度も練習を重ねてきた最終プレゼンテーション。それぞれの役目を果たし、一人一人がロゲ会長と握手を交わして舞台から降りた。

 ▼太田雄貴(フェンシング) 幸せという言葉以外に見つからない。重責だったが、このメンバーで戦えたことを誇りに思う。いい雰囲気の中で持てる力は出せた。

 ▼水野正人・東京招致委副理事長 チームジャパンみんな力を合わせた成果を出せた。ベストは尽くせた。IOC委員の反応も良かったと感じた。

 ▼荒木田裕子・東京招致委理事 私が感動してしまった。特に首相の福島の話はびしっと決まって涙が出そうになった。みんなが心からスピーチしていたのが良かった。絶対大丈夫だと思う。

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