天理大柔道部で暴行 全柔連の藤猪理事、2週間で辞任へ

[ 2013年9月4日 10:05 ]

柔道部の暴行について記者会見する天理大の山田常則副学長(中央)と藤猪省太部長(右)

 五輪や世界選手権のメダリストを送り出し、全国屈指の強豪の天理大(奈良県天理市)柔道部でことし5~7月、4年生の男子部員4人が1年生部員に暴行を加えていたことが4日、分かった。

 柔道部の藤猪省太部長(天理大教授)は4日、大学で記者会見し、全日本柔道連盟(全柔連)の理事の辞任届を宗岡正二会長あてに郵送したことを明らかにし、部長を辞任することも表明した。藤猪部長は7月中に暴行の事実を知りながら、相次ぐ不祥事を受けて発足した全柔連の新体制で8月21日に理事に就任していた。

 柔道界では女子の日本代表で1月、暴力指導問題が発覚。全柔連は再発防止策などを検討する「暴力の根絶プロジェクト」を設置し、4月から議論を重ねていた。その間に起きていた暴力問題に柔道界の体質があらためて問われそうだ。

 藤猪部長は「柔道界に申し訳ない」と謝罪し、隠蔽の可能性を問われ「大学が対処してから(全柔連に)報告しようと思っていた」と釈明した。

 天理大によると、5月中旬、1年生数人が練習中に水を飲んだとして4年生4人が十数人の1年生に平手打ちの暴行を加えたほか、7月上旬にかけて特定の1年生の尻を木刀でたたくなどしたという。この1年生は左耳の鼓膜が破れるけがを負い、その後退部を申し出たことで暴行が発覚した。

 大学は7月23日に学外からの問い合わせで事態を把握し、その後聞き取り調査の実施や、学生委員会で対応を協議してきたという。4年生4人は謹慎中で、処分については検討中としている。また、土佐三郎監督は8月20日から謹慎処分となっている。

 世界選手権(リオデジャネイロ)男子73キロ級で金メダルを獲得した天理大4年で主将の大野将平選手について、山田常則副学長は同選手が暴行現場にいたことを認め「彼が手を出したわけではない」と述べた。

 全柔連の宇野博昌事務局長は「まずは事実確認を早急にして対応を検討する。藤猪部長の報告が遅れたのならば、その経緯も聞き取り調査をする」と述べた。

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