14歳の平野 初参戦でいきなりW杯史上最年少V!

[ 2013年8月25日 06:00 ]

初出場で優勝した平野歩夢

スノーボードW杯ハーフパイプ開幕戦

(8月24日 ニュージーランド・カードローナ)
 天才少年がいきなり魅せた。男子はW杯に初めて挑んだ、新潟・村上一中3年の平野歩夢(あゆむ=バートン)が1回目に92・25点をマークして初優勝。国際スキー連盟(FIS)によると、14歳8カ月での優勝は全競技を通じて史上最年少のW杯制覇だ。冬季五輪2連覇中のショーン・ホワイト(26=米国)は負傷のため欠場。最大のライバルは不在だったが、14年ソチ五輪へ最高のスタートを切った。

 初めての大舞台で、14歳がポテンシャルの高さを見せつけた。昨季まで年齢制限でW杯に出られなかった平野が、初出場初優勝。しかも史上最年少での快挙を達成した。難度の高い空中の演技に加え、ミスのない安定感たっぷりの滑りを披露した。「緊張はなかった。着地が安定していた。(技と技の間を)きれいにつなげられた。優勝できたので良かった」とあどけなく笑った。

 22日の予選でただ一人90点台をマーク。この日の決勝も高く舞い続けた。一般的にゴールに近づくほどスピードは落ちやすいが、平野は滑らかな着地で減速を抑えることで高さを持続できるのが強み。決勝1回目は4つ目に回転軸をずらしながら3回転する高難度の「ダブルコーク」を決め、最後に高さのある横2回転につなげた。

 昨季は世界最高峰の冬季Xゲームに出場して銀メダルを獲得。日本の治部コーチは「スムーズな回転が魅力。高難度の技でも、まるで簡単なことのようにすることができる」と目を見張る。

 4歳でスノーボードを始め、11歳でプロ資格を取得して海外を転戦。ハイレベルな戦いに身を置きながら、その視線は常に五輪をとらえていた。技術だけでなくエンターテインメント性が評価されるプロと、国際スキー連盟(FIS)主催のW杯では採点基準に若干のズレがあるとされる。五輪はFISの審判がジャッジするため、全日本スキー連盟の萩原スノーボード部長は「FIS主催大会で結果を出したのは素晴らしいし、五輪につながる」と評価した。

 今大会は世界選手権覇者のポドラドチコフ(スイス)が決勝に進めなかったように調整不足の実力者もいた。また、「一番、倒したい」と平野が闘志を燃やす、五輪連覇中のホワイトはエントリーしなかった。最強のライバルを五輪で撃破すれば、冬季五輪日本人最年少の表彰台だけでなく金メダルも見えてくる。「(技の難度を)抑えて優勝できた。五輪に少し近づいたかな」と話した平野は、「時間はあまりないが、新しい技も練習していきたい」とすぐに前を向いた。無限の可能性を秘めた14歳には金色に輝く未来が待っている。

 ≪大幅に記録更新≫従来の最年少でのW杯優勝は2011年3月にフリースタイルスキー男子HPのトリン・イエーターウォーレス(米国)が勝った際の「15歳3カ月」で、平野は大幅に記録を更新した。ノルディック、ジャンプでは女子の高梨沙羅(クラレ)が12年3月に山形市蔵王で記録した15歳4カ月が、男子を含む最年少記録となっている。

 【男子】▽W杯ハーフパイプ (1)平野歩夢92・25 (2)平岡卓91・75 (3)クリスチャン・ハラー82・50 (4)子出藤歩夢81・25 (17)藤田一海35・25

 ▽スノーボード・ハーフパイプ 半円筒状のコース斜面を使った演技で競う。技の高さ、難易度、完成度、演技全体の多様性を含む全体的な印象を、五輪ではジャッジ6人が採点。各100点の持ち点から減点法で得点をつける。スノーボード競技を管轄する国際スキー連盟の規則では、五輪やW杯などの国際大会に出場するためには開催年の12月31日までに15歳の誕生日を迎えていなければならない。平野は13年11月29日に15歳となるので今季のW杯から出場資格がある。

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