世界水泳金メダルの瀬戸 世界新記録へ「あと5秒」のビジョン

[ 2013年8月21日 08:26 ]

金メダルを手に笑顔の男子400メートル個人メドレーの瀬戸大也

 水泳の世界選手権(バルセロナ)の男子400メートル個人メドレーで日本勢史上初の金メダルに輝いた瀬戸大也(19=JSS毛呂山)が世界新記録を狙う。世界選手権決勝で出した4分8秒69は今季世界ランク2位だが、更新を目指す世界記録は高速水着時代の08年にマイケル・フェルプス(米国)が叩き出した4分3秒84で、まだ5秒近く違う。世界一になったホープはスポニチ本紙のインタビューで、名実ともにトップになるための理想の泳ぎ、20年東京五輪への思いなどについて語った。

 ――世界選手権を振り返り、どんな大会だった

 「予想以上。正直メダルを獲れればいいと思っていたので、金メダルでビックリ。それよりも自分の最高のパフォーマンスができたことの方が良かった。(映像を見て)イメージ通りのレースができていた。今できる最高の泳ぎができた」

 ――初の世界選手権で課題などは見つかったか

 「200メートル個人メドレー(7位)でスピードのなさを痛感しました。スピードを上げるためにパワートレーニングが必要。ガッと力を出すトレーニングをしっかりやって、俊敏性のある筋肉にしたい。スプリント力を上げ、俊敏性を高めて持久力をキープしていく感じ」

 ――世界新記録更新に向けビジョンはあるか

 「4泳法のレベルアップ。全部レベルアップしないと世界新記録には到達しないと思う。個人メドレーを中心に他種目も頑張っていけば各種目のレベルアップにもつながると思うので、多種目で活躍していきたい」

 ――理想の選手は

 「バタフライはマイケル・フェルプス(米国)、背泳ぎは入江さん、平泳ぎは北島さん、自由形はイアン・ソープ(オーストラリア)。良いところとか、格好いいところを自分にプラスして、自分の泳ぎに生かしているという感じ。全然、入江さんみたいな泳ぎじゃないですけど。入江さんみたいに楽に速くとか、康介さんみたいに大きな泳ぎとか、フェルプスみたいな(手のかきの)キャッチの軌道とかキックのタイミングとか、ソープの腕のかきとか。そういうちょっとしたところを入れたりする」

 ――一番泳ぎ方が似ているのは

 「ソープの肘が立つところが似ているかもしれないですね。水をキャッチしたときにグッとなるところ。似ているというか自分の泳ぎになっている。ジュニアの子たちに瀬戸くんみたいな泳ぎってマネされるようになったらいいですね」

 ――フェルプスが復帰するという話もあるが

 「モチベーションになりますね。自分で倒したい。ロクテも一緒に泳いで倒したいですし。個人メドレーだったら200メートル(に出てくる可能性)はあり得ると思うので、(倒すには)パワーとか必要。今のままじゃ戦えない。金メダルは獲ったけど、たまたまの金メダル。そのときに自分の結果が良くて、他の人は最高のパフォーマンスができなかったというのもあるし」

 ――次のレースはインカレ(全日本学生選手権、9月・広島)だが

 「タイムをさらに上回れたらいい。持ちタイムは萩野公介(19=東洋大)の方が速いので、本当にチャレンジャーとして日本新記録(4分7秒61)争いできるレースだったら面白いと思う。現時点で世界ランク1位と2位なので、会場を沸かせる、楽しませるような世界トップレベルのレースができたら」

 ――20年東京五輪をイメージしたことは

 「五輪が東京に来てほしい。(26歳で迎える)20年の五輪で競技は最後というか、そういうイメージで頑張っているので、東京で最高のパフォーマンスをして、自分の持てる力を出し切って終わりたいなと」

 ――世界選手権と五輪は違うと思うか

 「どうなんですかね。今回のバルセロナではスポーツを盛り上げる雰囲気が凄いなと思った。早く五輪を味わってみたい。(五輪では)400メートル個人メドレーがメーンで、他種目でもメダルが獲れたらいいしリレーも出たい。いろんな種目に応じて体を変換させるような、最強になりたい」

 ◆瀬戸 大也(せと・だいや)1994年(平6)5月24日、埼玉県生まれの19歳。JSS毛呂山所属。埼玉栄高から今春、早大に進学。昨年はロンドン五輪出場を逃したが、25メートルプールで争った12月の世界短水路選手権の男子400メートル個人メドレーで金メダル、200メートル個人メドレーで銀メダルを獲得。今年4月の日本選手権は200メートル、400メートル個人メドレーでともに2位。1メートル74、70キロ。血液型A。

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