政府も上村全柔連会長に辞任「勧告」 リミットは8月末

[ 2013年7月24日 06:00 ]

勧告書を受け取って報道陣に囲まれる上村春樹会長

 全日本柔道連盟(全柔連)が解体の危機に陥った。内閣府の公益認定等委員会は23日、上村春樹会長(62)を呼び、8月末までに責任の所在を明らかにするとともに組織改革を求める勧告書を手渡した。一連の不祥事と対応のまずさを問題視しており、上村会長に対する事実上の辞任勧告。08年12月からの新法人制度で、公益認定法に基づく勧告は初めて。また、執行部や理事会、評議員会の怠慢ぶりも厳しく問う内容で、全柔連の全てがダメ出しされた。

 上村会長は稲田朋美行政改革担当相から全柔連の自浄能力の欠如を指摘され「心からおわび申し上げます」と謝罪した。

 ただ、上村会長は以前から改革実行のため、少なくとも10月までは会長職にとどまる意向を示唆。それを踏まえ、公益認定等委員会の高野修一事務局長は「改革の道筋をつけなければいけないとおっしゃっても、果たしてそれが国民一般から見て信頼回復の道と見えるのか。ご自身の責任はどこへ行ったのか」と厳しく指摘。そして「外から見て信頼が確保できる形で体制をつくり直してください。そのために何をしたらいいのか、そこまで言わせないでほしい」と述べた。山下徹委員長も「8月末までに全柔連が出す答えを注視する」とクギを刺した。

 会長だけではない。「一般法人法に定められた職務上の義務に違反している疑いがある」(高野事務局長)。委員会はそれぞれに監視すべき執行部、理事会、監事、評議員会の責任も重く見た。「柔道界では上の人に意見なんて言えない」。そう言い逃れをしてきた理事や評議員の職務怠慢も同じく断罪された。

 勧告書は安倍晋三首相名で出され、一連の事態の責任の明確化と公益法人に値する組織への再構築を求めている。助成金の不正受給では、問題のあった助成金6055万円を日本スポーツ振興センターに速やかに返還し、全柔連に生じた損害を責任者に賠償請求を検討することも求めた。その責任者の範囲がどこまでで、各人の相応の賠償額とはいくらなのか。それも全柔連が「自己規律」を示すために決めなければいけない。

 同委員会は、手続き等を含めると最短の猶予期間として8月末の報告の期限を設けた。それらが不十分と判断されれば次は「命令」。さらに「認定取り消し」となり、税制優遇措置なども受けられなくなる。まさに瀬戸際。残された道は解体的出直ししかない。

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2013年7月24日のニュース