稀勢の里 白鵬止めて11勝!千秋楽勝って綱獲り継続だ

[ 2013年7月21日 06:00 ]

<大相撲名古屋場所14日目>気合の寄り倒しで白鵬の連勝をストップさせた稀勢の里

大相撲名古屋場所14日目

(7月20日 愛知県体育館)
 大関・稀勢の里が、すでに26度目の優勝を決め、43連勝中だった横綱・白鵬を寄り倒しで撃破した。北の湖理事長(元横綱)は今場所12勝を挙げれば、9月の秋場所での綱獲り継続を示唆。稀勢の里は、千秋楽で大関・琴奨菊との一番に挑む。横綱・日馬富士は琴奨菊を下し9勝目。西前頭筆頭の高安が勝ち越し、来場所で平成生まれ初三役が誕生する可能性が高まった。

 悔しさをむき出しにする白鵬の目の前で、稀勢の里はこの日一番の歓声と拍手を浴びた。3年前は64、そして今度は44連勝を阻止。切れた上唇の内側と、右頬の2本の傷痕が激戦を物語る。座布団のシャワーを浴びて引き揚げると「前に行こうという意識があった。理想通りにはいかないけど力を出し切れたと思います」と胸を張った。

 最初の立ち合いは、横綱が突っ掛けて不成立。先場所でも1回目はそうだった。熱戦の再現ムードが漂う中、2度目の立ち合いは両者手を突かず、白鵬から“待った”。そして3回目。白鵬の左張り手、右かち上げを立て続けに受けても、稀勢の里はひるまず前進、また前進。その圧力に横綱がたまらず後退。いなしたところを右から張り返して右四つに持ち込み、寄り倒した。先場所は得意の左四つで敗れ、白鵬に「相手十分(の左四つ)で勝った」と言い放たれたが、今度は横綱有利の右四つでリベンジした。

 綱取りの重圧の中、前半で3敗。その原因を「硬くなっていた」と認めた上で、「同じことを繰り返すのが修正には一番大切」と強調した。勝っても負けても、朝稽古では四股やすり足など基本動作の後に、チューブで肩を鍛えて終わる。黒星に動じず、繰り返す信念が集中力をよみがえらせた。この日も、支度部屋では取組表を見詰めたままなかなか動かず、付け人が「(取組に)間に合うのか」と慌てるほど集中していた。

 北の湖理事長は稀勢の里が琴欧洲を下した12日目に、12勝なら秋場所での綱獲り継続を示唆。自身初の2横綱撃破で「夢」をつなげたことで、理事長も「横綱2人を倒したのはイメージがいい。あしたが大事」と評価した。12勝が懸かる相手は、夏場所千秋楽に完敗した琴奨菊。稀勢の里はその話題になると思わず苦笑い。そして「頑張ります。ヨシ!」と言い聞かせた。その顔つきは、白鵬に敗れた先場所とは違って、自信に満ちあふれていた。

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2013年7月21日のニュース