高安 平成生まれ初の三役見えた 取り直しで琴欧洲撃破!

[ 2013年7月13日 06:00 ]

高安(右)は取り直しの一番はが琴欧州をはたきこみで破る

大相撲名古屋場所第6日

(7月12日 愛知県体育館)
 23歳の若武者・高安が取り直しの末に大関・琴欧洲をはたき込みで破って4勝目を挙げた。1横綱2大関を破るなど連日のように館内を沸かせており、平成生まれ初の三役昇進が視界に入ってきた。横綱・白鵬は小結・松鳳山を突き落とし、6戦全勝。琴奨菊、琴欧洲の両大関、平幕の魁聖が初黒星を喫し、白鵬が早くも単独トップに立った。

 物言いがつき、審判団が土俵上で話し合っている際に館内に鳴り響いたのは「もう一丁!もう一丁!」のコール。それこそが、幕内上位で唯一の平成生まれの高安が“何かを起こしてくれる”という期待感を抱かれている証拠だった。

 協議結果は、土俵際まで押し込みながら倒れた高安の右手と琴欧洲の体が落ちるのが同時と見て取り直し。「よしっ」と気合を入れ直した若武者は右に動いて上手を強引に狙ってきた大関に対し、押し相撲で挑んだ。思いっきり伸ばした左の突きを外すと2メートル2の長身がバッタリ。兄弟子の稀勢の里の綱獲りが絶望的になった中で1横綱2大関を破る活躍。「やると決めたことを思い切ってできていることが勝利につながっている」と笑顔なく分析するところが大物ぶりを示している。

 平幕上位には過去3度上がったが、6勝9敗(12年初)、5勝10敗(12年夏)、5勝10敗(13年春)と三役への壁を越えることはできなかった。平成生まれ初の三役に向け、今年夏場所以降取り組んできたのは下半身強化。稀勢の里が特注で取り寄せた「中心力」と刻まれた70キロと50キロの丸い石を持ってすり足を繰り返し、名古屋場所宿舎にある約50メートルの坂道で連日のようにタイヤを引っ張った。大関の出稽古にも同行せず、宿舎で基本運動に徹した日もあった。

 朝日山審判部副部長(元大関・大受)が「台風の目になりつつある」と話せば、北の湖理事長(元横綱)は「(三役が)チャンスなんじゃないか」と褒めた。既に横綱、大関戦が終わった23歳は今後に向け「落ち着いていられない」と自らを鼓舞。自信を持った“がむしゃらさ”ほど怖いものはない。

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2013年7月13日のニュース