稀勢、綱獲りへ冷静1勝!支度部屋に一般人乱入も淡々

[ 2013年7月8日 06:00 ]

笑顔で引き揚げる稀勢の里

大相撲名古屋場所初日

(7月7日 愛知県体育館)
 夏場所で13勝を挙げ、初の綱獲りに挑む大関・稀勢の里(27=鳴戸部屋)は豪風(34=尾車部屋)を冷静に押し出し、白星発進した。支度部屋に一般人が乱入する珍事も起きるなど周囲の期待は高まる一方だが、土俵では冷静さを失わなかった。白鵬(28=宮城野部屋)、日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)の両横綱も白星発進。八百長問題での解雇をめぐる法廷闘争を経て2年半ぶりに復帰した蒼国来(29=荒汐部屋)は黒星スタートとなった。
【取組結果】

 目の前に不気味な落とし穴があった。それでも、それを察知する冷静さが稀勢の里には備わっていた。注目の綱獲り初日。じっくりと腰を下ろした大関の前で、豪風が2度突っかけた。ここでカッとなれば相手の術中にはまる。はやる気持ちを抑えながら、慎重に前傾姿勢になった。3度目は、冷静に右で張って左はおっつけ。あとは、173キロの馬力を生かしてぐんぐん前に出るだけだった。

 満員御礼の館内では故郷の茨城県牛久市から駆けつけた30人の応援団による「きっせのさと!」という祝福のコールが鳴り響く。大事な場所とは自覚しつつ「気にしないで集中してやるだけ」と稀勢の里は無表情のまま勝ち残りの土俵だまりに腰を下ろした。

 先場所13勝2敗の準優勝。それでも協会が「綱獲り場所」と定めたのは、10年半も続く日本人横綱不在の時代を終わらせるため。周囲の綱獲りムードは過熱する一方だ。この日の支度部屋では2つの異変があった。

 (1)「稀勢の里カメラ」の設置 通常初日から映像カメラが入ることはないが、NHKが日本相撲協会に要請し、協会の映像部が代表して撮影。今後も連勝が続く限り、取組後の様子が撮られる予定だという。

 (2)一般人の乱入 取組後、大関が取材を受けている最中、一般人男性が東の支度部屋に進入して記者の囲みの後方で見学。乱入者は「許可を取った」と言ったが、関係者以外の支度部屋進入は禁じられており、注意を促されるとすぐに退出した。

 そんな珍事が起きようが、大関は「気持ちの部分で負けないようにしたい」と淡々と受け答えた。七夕の日に何を願う?と問われると「かなえられればいくらでも願いますけど」と即答するなど余裕たっぷり。13勝以上のVを綱獲りの条件と掲げる北の湖理事長(元横綱)から「大事なのは初日と2日目」とハッパを掛けられているが、先場所の優勝争いを経験した大関は、簡単に攻略できる関門と受け止めている。

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