力水飲んじゃったけど…大砂嵐、緊張の歴史的白星

[ 2013年7月8日 06:00 ]

寄り切りで鬼嵐(左)を破る大砂嵐

大相撲名古屋場所初日

(7月7日 愛知県体育館)
 相撲史に新たな1ページをしるした。アフリカ大陸初の関取となったエジプト出身の十両・大砂嵐は鬼嵐を寄り切って初陣を飾った。

 緊張からか立ち合いでは遅れた。それでも右四つに組むと左上手投げで相手の体勢を崩して、右から起こすように寄り切った。館内の大歓声を浴びたパイオニアは「突っ張ってまわしを取りにいけたのがよかった。土俵入りはドキドキしたが取組は取組」と満面の笑みをこぼした。

 新十両となって、土俵入りや取組前の所作などあらゆることが初物ずくめ。取組前には、土俵上で里山からつけられた力水をイッキ飲みしてしまった。飲むのは禁止されているわけではないが、力水は清めのために本来は口をすすいで吐き出すものとされている。猛暑の影響か、それとも緊張感からか――。それでも、肝心の取組は怪力ぶりを発揮し「まだまだベストじゃない。もっともっといい相撲が取れる」と強気だ。

 3日目(9日)からはイスラム教徒に課される義務「ラマダン」(断食月)に入る。日が出ている間は水や食べ物を口にできないだけに、もう力水をごっくりすることはないが、相撲界初の断食力士の挑戦は波乱含みだ。

 ▽力水(ちからみず) 1902年(明35)から十両以上の取組で導入。力士が仕切りに入る前に口をすすぎ、身を清める水を指す。前の取組の勝ち力士と、控えの力士がひしゃくにくんだ水を差し出す。負けた力士はつけられない。飲むものではなく、軽くすすいで吐き出すことが慣例となっている。

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2013年7月8日のニュース