桐生 200メートルも高校新 “専門外”で19年ぶり

[ 2013年6月16日 06:00 ]

表彰台で他校の選手とおどけてポーズを決める桐生(左)

陸上全国高校対校選手権近畿予選会第3日

(6月15日 奈良・鴻ノ池陸上競技場)
 ワンダーボーイが歴史を動かした。8月の世界選手権(モスクワ)短距離代表の桐生祥秀(17=京都・洛南)が、男子200メートル決勝で20秒41(追い風0・5メートル)の高校新記録で優勝した。高橋和裕(奈良・添上)が94年にマークした20秒57を19年ぶりに更新し、7月30日開幕の全国高校総体(大分)の出場権を獲得。コーナーワークも抜群で、世界選手権400メートルリレーでは1走を務めることが決定的になった。

 現在の高校短距離界にライバルは存在しない。桐生が追ったのは自身が生まれる以前、94年にマークされた高校記録だ。雨中の激走で20秒41のニューレコードを叩き出すと、右手を突き上げて言葉にならない雄叫びを上げた。「(高校新を)狙っていたのでうれしい。雨でも気持ちで負けず、“タイムを出すんだ”と思って走った」と納得の表情を浮かべた。

 100メートルで10秒01のスーパー高校記録を樹立した桐生は200メートルも期待されていたが、5月19日の大会では20秒59と0秒02届かず。「正直、悔しかった」と振り返る。「100メートルも200メートルも走れる選手になりたい」。2種目世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)に憧れる17歳にとって、200メートルへのモチベーションも高い。3週連続大会出場中で、この日の決勝が20レース目。「疲れたなんて言っていられない」。記録への熱い思いが、忍び寄る疲労を置き去りにした。

 メダルを狙う世界選手権400メートルリレーの布陣も見えてきた。「200メートルのコーナーの走り方もうまかった」と、視察した日本陸連の伊東浩司・男子短距離部長(43)は説明する。曲走路を駆ける200メートルとリレーの1走は、求められる特性が同じ。初代表でバトンパスに不安がある桐生だが、1走ならバトンを渡すだけ。「現時点では桐生が1走でしょう」と同部長は明かした。

 20秒41は世界選手権の参加標準記録A(20秒52)を突破。日本選手権でも2位相当だが、大舞台の個人種目は100メートルに専念する。「200メートルの後半も100メートルと同じで体が崩れずにいけたんで、100メートルに生かせる」。輝く未来に向かって、17歳のワンダーボーイがさらに加速する。

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