稀勢 全勝対決に敗れるも…千秋楽 勝って綱獲りだ

[ 2013年5月26日 06:00 ]

<夏場所14日目>白鵬(左)は稀勢の里をすくい投げで破り全勝をキープ

大相撲夏場所14日目 

(5月25日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が横綱・白鵬との全勝対決に敗れ、1敗に後退した。得意の左四つの体勢をつくったが、最後はすくい投げを決められた。06年初場所の大関・栃東以来となる日本出身力士の優勝に向けて痛恨の敗戦となったが、千秋楽で琴奨菊に勝ち、白鵬が負けると優勝決定戦にもつれ込む。千秋楽の結果次第ながら、北の湖理事長(元横綱)は名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)での綱獲りの可能性が残っていることを示唆した。

 大歓声の中、がむしゃらに力を出し切った14秒間。勝負が決した瞬間、稀勢の里の視界に映ったのは国技館の天井からつるされている「つり屋根」の裏側だった。過去8勝30敗の白鵬にまたもかなわず、土俵上で大の字。後頭部と背中にべったりと砂をつけたまま一礼して土俵を下りた。負け残りの土俵だまりに座って何かをつぶやいたが、覚えていない。「負けは負け」。敗戦を認めるしかなかった。

 78年名古屋場所の「北の湖―輪島」以来35年ぶりの14日目全勝決戦。43場所ぶりとなる日本出身力士優勝という期待を背負い過ぎた。「焦りがあったんですかね…」。立ち合いで左に変わってまわしを取りにきた横綱に対し、大関は真っ向勝負。両上手を引かれたところでとっさに左四つに組み替えたが、左、右と投げを連発された。必死に残したが、最後は左足が流れてすくい投げで転がされた。

 大きな一番を落としたが、初優勝の可能性はまだ残されている。その上、打ち出し後には北の湖理事長が来場所の綱獲りについて「13勝と14勝では重みが違う。(横綱昇進は)平均して13勝以上が上がっている。優勝に準ずる人もいますから。あしたの一番は大きい」と言及。平成以降は2場所連続優勝でしか昇進していないが、たとえ賜杯を抱けなくてもハイレベルな優勝争いを展開している今場所の活躍が考慮される可能性が出てきた。

 そのためにも千秋楽の琴奨菊戦は落とせない。「思い切っていい相撲を取る」。悲願の初優勝、そして綱獲りへ。前を向いて車に乗り込んだ26歳の大関はまだ諦めていない。

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