稀勢の里 初の9連勝 タイガーマスク闘魂注入

[ 2013年5月21日 06:00 ]

4代目タイガーマスクと握手する稀勢の里

大相撲夏場所9日目

(5月20日 両国国技館)
 大関・稀勢の里が豊ノ島を押し出しで下し、自身初の9連勝で全勝を守った。一時は不利な体勢になったが、慌てず対応し、最後は得意の左おっつけを利かせて押し出し。平幕の碧山を一蹴した横綱・白鵬と並走状態をキープした。鶴竜は大関対決で琴奨菊に寄り切られ、1敗に後退。2敗は日馬富士、琴奨菊と平幕の時天空の3人。

 勝ち星を8つ積み重ねた男は風格すら漂わせていた。豊ノ島戦。相手に重心を低くされて抵抗されても稀勢の里は泰然自若を貫いた。昨年までなら慌てて攻めて、墓穴を掘ることもあった。しかし、この日は勝機が来るまでじっと我慢する余裕があった。相手の右上手を切ると得意の左おっつけで前に出る。相手との距離が出た瞬間に圧力をかけ、そのまま押し出した。

 自身初の9連勝。支度部屋では「ちょっと焦ってしまったが、冷静にいこうと思った」と淡々と振り返る一方で「でも勝っているから余裕がないとね、フフッ」と含み笑いするひと幕もあった。

 昨年秋から食生活の改善に着手した。場所中の禁酒を試み、肉や魚をバランス良く食べて、疲労回復のサプリメントを摂取した。徐々に思い通りの動きも取れるようになり、北の湖理事長(元横綱)も「脇が締まっていたのがよかった」と成長を認めた。

 周囲の期待は日増しに高まっている。地元の茨城県牛久市にある「稀勢の里応援団」に加盟している和菓子店「かっぱ本舗」は、優勝が決まった瞬間に団子を半額セールすることを決定。また11日に引退した小橋建太氏のファンと聞き、プロレス界を代表して新日本プロレスの4代目タイガーマスクが来場。取組後の大関を激励した4代目は「絶対に優勝してほしい」とエールを送った。

 鶴竜に土がつき、白鵬との一騎打ちムードが濃厚となってきたが、稀勢の里は「必死にやるだけ。最後まで行きたい。焦る必要も気負う必要もない」と無欲を強調する。きょう10日目は対戦成績で13勝26敗と苦手にしている琴欧洲戦。日本中が切望する初Vヘ向け、本当の試練が始まる。

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