錦織 フェデラーから初勝利「テニス人生の一つの目標」

[ 2013年5月11日 06:00 ]

マドリード・オープン男子シングルス3回戦

(5月9日 マドリード)
 四大大会などに次いで格付けの高いマスターズ大会で日本のエースが大金星を挙げた。テニスのマドリード・オープンは9日、マドリードで行われ、男子シングルス3回戦で世界ランキング16位で第14シードの錦織圭(23=日清食品)が、同2位で第2シードのロジャー・フェデラー(31=スイス)を6―4、1―6、6―2で破り、ベスト8へ進出。尊敬するフェデラーと約1年半ぶり2度目の対戦で初勝利を挙げ、価値ある1勝を手にした。

 錦織がまた新たな扉をこじ開けた。今度は四大大会最多17勝、通算300週以上にわたって世界1位に君臨してきた分厚く、重たい“フェデラーの扉”だ。第3セットの第8ゲームで迎えた最初のマッチポイント。フェデラーのフォアがネットにかかった瞬間、錦織は赤土の上でかみしめるように両手を高く掲げた。

 「フェデラーは僕のアイドルだった。彼を倒すことがテニス人生の一つの目標だった」。かつては練習相手も務めていた憧れの存在。前回の対戦は11年の11月、スイス室内選手権だった。準決勝で世界ランク1位のジョコビッチ(セルビア)を破り、勢いに乗った決勝戦で初めて相対したが、なすすべなくストレート負けを喫した。悔しさだけが残った。

 それから約1年半、この日は錦織が成長を示した。「フォアハンドでしっかり攻められたのが勝因。うまく相手を走らせられた」。安定したサーブから速い展開で仕掛けた。第2セットはサーブの調子を取り戻した相手に奪われたが、最終セットは2―1とリードした第4ゲームでブレークに成功。「第3セットはフェデラーのファーストサーブの入りがよくなかったので、セカンドサーブで攻め込んだ。第3セットは特に攻撃的で、いいプレー」と苦手なはずのクレーコートで躍動した。

 「苦手のコートでフェデラーに勝てたことに驚いた。トップ10の選手に勝っていくのがこれからの課題。これは飛躍への一歩につながる」。今大会のみならず、クレーで行われる全仏オープン(26日開幕)への期待も膨らむ大きな勝利。今季の目標に世界トップ10入りを掲げる日本のエースがまた一つ階段を上がった。

 ▽マスターズ大会 年間で9大会開催される。四大大会の次に格付けされ、トップ選手が多数出場するハイレベルな試合になる。その下にはATP500(11試合)、ATP250(40試合)があり、ツアーが構成されている。錦織のツアー3勝はATP500が2勝、同250が1勝。マスターズ大会では11年の上海マスターズで準決勝に進んだのが最高成績。

 【過去の日本人番狂わせ】
 ☆松岡修造 92年6月のステラアルトワ・グラスコート選手権(ロンドン)準決勝で、世界2位のエドベリ(スウェーデン)と対戦。第3セットは執念の逆転劇を見せ、1―6、7―6、10―8で大接戦をものにした。

 ☆クルム伊達公子 96年4月のフェドカップ1回戦(有明コロシアム)で、世界1位のシュテフィ・グラフ(ドイツ)と激突。7―5、3―6、12―10で伊達が3時間25分にも及ぶ死闘を制し、日本人で初めて世界1位から勝利を挙げた。

 ☆錦織圭 11年11月のスイス室内準決勝で世界1位のジョコビッチに2―6、7―6、6―0で勝って決勝進出を決めた。

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2013年5月11日のニュース