桐生 9秒台見えた!「ゴール近く感じた」今季世界最高

[ 2013年4月30日 06:00 ]

男子100メートル予選で、日本歴代2位となる10秒01の高校新記録をマークし笑顔を見せる桐生祥秀

陸上織田記念国際最終日

(4月29日 エディオンスタジアム広島)
 日本人初の9秒台が見えた!男子100メートル予選3組で桐生祥秀(よしひで、17=京都・洛南高)が今季世界最高となる10秒01をマーク。追い風0・9メートルの中、日本歴代2位、ジュニア(19歳以下)世界タイともなる好記録を叩き出した。シニアの主要大会初参戦ながら、追い風2・7メートルで参考記録となった決勝も10秒03で優勝した。昨年、ユース(17歳以下)の世界最高記録となる10秒19を叩き出していたワンダーボーイが9秒台の夢を現実に変える。

 17歳のワンダーボーイが異次元のスピードで駆け抜けた。号砲と同時に飛び出した桐生は、30メートルすぎに上体を起こして加速に入った。「起き上がった時にゴールが近く感じた」。初めての感覚を味わいながら、隣のロンドン五輪代表の飯塚らを突き放してフィニッシュ。電光掲示板が示したタイムは10秒01だ。

 無印の高校生が9秒台に肉薄する記録に場内がどよめく。今季世界最高タイムに「(10秒01は)気持ち良かった。こんなタイムが出ると思わなかった。凄くうれしい」とガッツポーズを見せた。ロンドン五輪代表・山県との競り合いを制した決勝は追い風2・7メートルで10秒03だったが、その名を一日でとどろかせた。

 決してフロックではない。日本短距離界の未来を明るく照らす存在だ。中学時代の自己ベストは10秒87ながら、洛南高に入学して一気に進化。昨年はユース(17歳以下)世界最高記録となる10秒19を出した。「ここで満足したら次に進めない」。昨夏、10秒00の日本記録を持つ伊東浩司氏と会う機会があった少年は、緊張して何も質問できなかった。今年1月、関西スポーツ賞の表彰式で元阪神の金本知憲氏と同席すると、勇気を出した。「緊張しない秘けつはなんですか」。物おじせず質問する姿が心の成長の証だった。

 2月、洛南高の陸上部顧問の部員への体罰が発覚し、同顧問は部活指導が無期限停止中。以降、指導者はいないが、桐生はチームメートと相談してメニューを組み立てている。同校のグラウンドは小さく、直線で100メートルを走ることができない。それでも、等間隔に置いたミニハードルを跳び越え、ストライドと重心移動を意識。スクワットなどで下半身強化に励んできた。心だけでなく自慢の加速力も進化した。

 8月10日開幕の世界選手権(モスクワ)の参加標準記録A(10秒15)を突破し、日本陸連の派遣設定記録(10秒01)もクリア。6月の日本選手権で決勝に進出すれば代表入り。7月末から高校総体も行われるハードな日程だが、「(世界選手権で)一緒に走って、ボルトとの違いを知りたい」と目を輝かせた。次戦は5月5日のゴールデングランプリ東京。「9秒台は(日本人で)最初に出したい」。日本選手の前に立ちはだかってきた“10秒の壁”。崩壊する瞬間は、もうすぐそこだ。

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