全柔連理事会 大山鳴動して現体制温存、自力改革へ不安残す

[ 2013年3月19日 06:00 ]

会見を終え報道陣に一礼して退席する(左から)斉藤強化委員長、上村会長、小野沢専務理事

 全日本柔道連盟は18日、東京都文京区の講道館で理事会を開き、上村春樹会長(62)を座長とする「改革提言具体化検討プロジェクト」を立ち上げ、組織改革を行うことを決め、発表した。理事会では佐藤宣践副会長(69)から会長の責任問題を問う意見も上がったが、結局、執行部はもちろん、理事の顔ぶれは代わらないまま。昨年から対応のまずさを露呈してきた連盟が自力で生まれ変われるのか、不安を残すこととなった。

 大山鳴動してネズミ一匹、とはこのことか。女子選手による暴力行為の告発に加え、強化委員会の留保金が発覚するなど、大揺れの中で開催された理事会は3時間以上におよんだが、決まったのは上村会長を中心とした改革案だけ。執行部の責任を問う声はほとんど出なかったという。

 問題への対応のまずさなどで、会長の責任を問う声を上げたのは、佐藤副会長だった。上村会長、佐藤副会長、藤田弘明副会長、小野沢弘史専務理事の執行部4人での話し合いで、退陣を含めた改革案を提案。理事会冒頭でも責任問題について発言した。だが、他の理事からは意見が一言も出ず、採決にすら至らなかったという。

 「そういう(辞任を問う)声が上がったのは事実です。責任はあります。ただ、責任の取り方の問題。まずはこの難局を乗り切ることが大切」と上村会長。会見では「暴力・暴言根絶宣言」をし、5つの改革項目についてプロジェクトリーダーとして改革を推進していくことを発表。19日に日本オリンピック委員会側から発表される答申を受け、26日に緊急理事会も開催し、6月の定例理事会に向け「ほとんどのことに道筋がつけられると思う」と話した。

 ただし、14日に明らかになった強化委員会の留保金についても「監事にお願いして調査を進める」とするだけで、すでに把握できているはずの残高などは発表はせず。執行部に対する処分も「これから検討する」とし、情報公開に対する認識と自らへの処分の甘さを露呈した。「時期を区切って改革を推し進めることは、理解を得られることと思っている」と同会長は自信を見せたが、柔道界に対する逆風は、さらに強まる可能性がある。

 ▼告発15選手をサポートした山口香氏 この決定を世間はどう見るか。これまでわれわれ女性たちは理事に入れてもらえなかったが、逆にメンバーに入っていなくてよかったと思うほど。執行部はこれからどんなことが起きても辞める気はないのだろうし、この組織は変わらないと実感した。

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2013年3月19日のニュース