日馬富士“マトリックス相撲”で休場危機脱出、意地の逆転○

[ 2013年3月19日 06:00 ]

把瑠都(右)に押し込まれた日馬富士は土俵際で逆転の突き落とし

大相撲春場所9日目

(3月18日 ボディメーカーコロシアム)
 横綱・日馬富士が関脇・把瑠都を土俵際での突き落としで退け、連敗を免れた。大ヒット映画「マトリックス」で俳優キアヌ・リーブスが演じたCGシーンのようなサーカス相撲を披露。負ければ休場危機だっただけに取組前は弱気発言を連発していたが、意地の逆転で6勝目を挙げた。単独首位の横綱・白鵬は豊ノ島を引き落とし、初日から9連勝。2敗は大関・琴奨菊と平幕・隠岐の海の2人になった。
【取組結果】

 まるで曲芸だ。土俵際まで一気に押された日馬富士は体を後ろに反らしながら右でグイッと一突き。絶体絶命の体勢から60キロも重い把瑠都を吹っ飛ばし、何とか連敗を阻止した。「マトリックスみたいでしたか?」。星の数も内容も崖っ縁の状況に置かれている東の横綱は、一昔前のSF映画に逃避するほどギリギリの精神状況だ。

 この日の朝稽古中。大阪市東成区の公園内にある伊勢ケ浜部屋の土俵から出てきた横綱は「鳥にえさをやりにきたんだ」と手に持ったあんパンをちぎって投げ始めた。約30メートル離れた位置に大量のハトがいたが、何度投げてもやってこない。

 「弱い横綱のえさは欲しくないのかなぁ…」。白星にもハトにも見捨てられ、自虐的にぼやいた一言が自信のなさの表れで「自分でも思うけど波があり過ぎ。全勝したり負けたり。やる気なくなる」と本音を漏らした。それでも、稽古後には激励に訪れたモンゴルの馬頭琴奏者による即席演奏会で落ち込んだ気分を一新。辛くも6勝目をゲットした。

 帰り際には「残り何日?」と報道陣に質問するなど焦りをあらわにした。先場所の全勝優勝から一転、28歳が再び綱の重みを実感している。

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2013年3月19日のニュース