羽生 動けなくなるまで演技 悲壮4位、五輪3枠死守

[ 2013年3月17日 06:00 ]

男子フリーの演技を終え、両膝をついて倒れ込む羽生結弦

フィギュアスケート世界選手権第3日 男子フリー

(3月15日 カナダ・ロンドン=バドワイザー・ガーデン)
 男子フリーが行われ、SP9位の羽生結弦(はにゅう・ゆづる、18=東北高)が左膝、右足首痛を抱えながら、魂の演技を披露。合計244・99点で4位に食い込んだ。高橋大輔(27=関大大学院)は239・03点で6位に終わったが、上位2人の順位合計を「10」とし、14年ソチ五輪の国別出場枠で最大の3枠を獲得。無良崇人(22=中京大)は234・18点で8位で、日本勢は4年ぶりにメダルを逃した。267・78点でパトリック・チャン(22=カナダ)が3連覇を達成した。

 体中のどこを探しても余力は残っていない。鬼の形相で演技を締めくくった羽生が、崩れ落ちるようにリンクにひざまずいた。両膝と両手、額も氷に着けた状態で約5秒間動けない。SP9位からの逆襲で4位。2年連続のメダルには届かなかったが「最後に倒れてもいいからやりきろうと思った。気合で持っていった」と充実感に浸った。

 手負いの若武者が死力を尽くした。2月中旬にインフルエンザのため約10日間の静養を強いられ、練習再開後は左膝を痛めた。この日朝の公式練習では右足首も負傷。「体力面を考えると20~30%の状態」という中、4回転トーループを決めると4回転サルコーも踏ん張った。痛み止めを飲み過ぎると足の感覚がなくなるため、薬の量を減らし痛みを感じながらの演技。それでも技術点は全体トップの得点だった。

 五輪国別出場枠が懸かった一戦。最大3枠確保には上位2人の順位合計で「13」以内が必要だった。高橋はSP4位から順位を落としたが、羽生の逆襲で合計は「10」に。小塚、織田ら今大会に出場できなかったスケーターがいる中、自身のふがいない演技で枠を減らすことだけは許せない。「こんなコンディションで臨んではいけない。でも、出たんだから棄権せずにやろうと思った」。責任感が満身創痍(い)の体を突き動かした。

 東日本大震災で甚大な被害のあった仙台出身。活動拠点をカナダ・トロントに移したが、被災地のことが頭から離れることはない。発生から2年となった11日、ロンドン入りしていた羽生は日本時間午後2時46分に合わせ、現地時間午前1時46分に黙とう。今大会は自らの好成績で被災者を励ますつもりだったが、被災者からの声援に逆に励まされた。「また力をお借りしてしまった」。被災者を勇気づけられるような完璧な演技を求め、18歳は歩を進めていく。

 ▽ソチ五輪の出場枠 男女ともに30枠で、1カ国の最大出場枠は3。今大会で24枠が決まる。2人以上の選手が出場している国は、上位2人の順位合計が13以内なら3枠。順位合計が14~28の時は2枠。選手が1人出場の場合は2位以内で3枠、3~10位で2枠。余った枠は、枠を取れなかった国を対象に、より上位の選手がいる国から順に割り振る。女子はSPで村上3位、浅田6位で最大3枠獲得へ安全圏。今大会で決まらない残り6枠は、9月の最終予選で決定する。

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