サポーター会員1000人減 釜石SWの危機感「昇格しないと」

[ 2013年3月13日 08:46 ]

釜石SWが製作した小冊子とマスコットボール。クリアファイルと同じデザインの誘致フラッグは、市内に約500本、掲げられた

 【連載 ラグビーの町・釜石は今…3】2年という年月は、釜石市に本拠を置くラグビーのクラブチーム「釜石シーウェイブス(SW)」には転機となった。

 東日本大震災発生直後は、市民からの会費などが活動費の多くを占めていただけに、クラブの存続自体が危ぶまれた。だが、全国からの寄付や会員申請などで解散を回避できただけでなく、2年分ほどの活動費を確保することができた。

 チームは「トップリーグ昇格という結果で、支援への感謝を表す」ことを活動の柱に位置づける一方で、W杯誘致活動にも携わってきた。昨年4月に岩手県の「新しい公共」支援事業への申請が通り、補助金を確保。「ラグビーワールドカップを釜石で!2019釜石」などと書かれた誘致フラッグを製作し、市街地やスタジアム建設予定地がある鵜住居(うのすまい)地区に掲げる活動をしてきた。

 また、W杯誘致の意義を紹介する小冊子、マスコットボールなども作って配布。公共施設でW杯のプロモーションビデオを流すなどの活動で機運を盛り上げてきた。しかし、高橋善幸最高顧問(48)は「クラブが主体となって行う活動は一区切り。誘致推進室ができたので、今後はそちらと連係していく」と、主体的に行う活動からは退く考えを話した。

 理由は「チーム強化に注力したい」からだ。トップリーグ下部のトップイーストに所属する釜石SWは、震災直後の11年度シーズンが4位、昨季は3位で、ともにトップリーグ昇格を争う「トップチャレンジ」への進出を逃した。「3年目の来季は、結果を出さないといけない」という危機感が、チームにはある。

 震災直後、釜石SWのサポーター会員数は、約2000人から約3500人に急増した。日本選手権7連覇を誇った新日鉄釜石の血を引くチームに全国的な関心が集まったことが大きいが、現在は2500人以下に減少したという。年月とともに薄れる関心が、数字にはっきりと表れた。

 さらに、その会員のうち、釜石市民は約800人しかいない現状も、危機感を募らせる。約3万6000人の市民に会費を払う余裕がないこともあるが、市民クラブとしては寂しい数だ。「結果を残さないと支援を広げられない」と高橋最高顧問は話した。

 クラブは2月、役員の新体制を発表した。仕事とGMを両立してきた高橋氏は、最高顧問となって実務を離れ、専任のGMに小原崇志氏を迎えてチーム強化を一任した。

 「SWは何ができるかと考えると、トップリーグに昇格することで、ラグビーの町を復活させ、それをW杯誘致につなげること。われわれが強くなることで、釜石でW杯をやる意味を理解してもらえればいいと思う」

 東北沿岸の小さな町で力を磨き、全国を制した「北の鉄人」は、釜石だけでなく、東北全体の誇りでもあった。その流れをくむ釜石SWには、釜石に、東北に対する強い「責任感」という伝統が息づいている。

 ◆トップリーグへの道 昨季まではトップイースト2位までが、トップリーグ昇格を争うトップチャレンジに進出。その上位が自動昇格、または入れ替え戦に出場した。ただ、来季からトップリーグが2チーム増となるため、トップリーグからトップイーストに自動降格するチームはなく、釜石SWは今季の成績で単純比較すると、来季は2位以上の可能性が高い。

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