白鵬 “勝たなければならない”3・11&28歳誕生日に完勝

[ 2013年3月12日 06:00 ]

高安(左)を寄り切りで破る白鵬

大相撲春場所2日目

(3月11日 ボディメーカーコロシアム)
 2場所ぶり24度目の優勝を狙う横綱・白鵬は高安を危なげなく寄り切った。東日本大震災から丸2年、そして自らの28歳の誕生日でもある特別な日に完勝して連勝スタート。土俵上で強さを見せ続けることで被災地に希望を届けることを誓った。日馬富士も栃ノ心を寄り切って2連勝。豪栄道は同じく地元・大阪出身で初対戦の勢を押し出した。

 勝たなければならない日に当たり前のように勝つことが白鵬の横綱たるゆえんだ。28年前のこの日にモンゴルで生まれ、12年前のこの日に大阪で初めての本場所を迎え、そして2年前のこの日に東日本大震災が起きた。そんな特別な日の結びで横綱相撲を見せつけ、引き揚げてきた支度部屋では冷静に被災地へ寄せる思いを語った。

 「力士会として(支援)活動をしていますが、その中で元気な体、姿を土俵の上で見せれば、違った意味での活動、応援になっていくのかな」

 入門当時は体重60キロ台だった16歳の少年が、いまや横綱となって土俵上で圧倒的な強さを見せている。そんな夢物語の続きを届けることこそ、自分にできる最大の支援活動だと思っている。

 2年前の3月11日午後2時46分は八百長問題で春場所が中止となったため、都内の自宅で大きな揺れを経験。その3カ月後には相撲協会による被災地巡回慰問で東北に出向き、5日間をかけて計10カ所で横綱土俵入りを行った。力士が踏む四股は古くから地中の悪霊を鎮める意味があるとされるが、2年たったこの日も「きのうよりもきょう、きょうよりもあした」という鎮魂の思いを抱いて堂々たる不知火型を披露した。

 結びの取組では平成生まれの高安を相手に立ち合いで鋭く踏み込み左前まわしをガッチリ。一気に出て最後は教科書のように腰を割って寄り切り「自分の形になれた。組んでよし離れてよし、という相撲が目指す相撲」と納得の表情を見せた。

 荒れる春場所で4連覇を狙う白鵬が前日に続いて2日連続で言った言葉がある。「精進して、頑張って、また活動していく」。それが横綱が考える復興へのキーワードだ。 

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