沙羅 “低空”V 大ジャンプのダメージが両足に蓄積

[ 2013年3月2日 06:00 ]

競技を終え、引き揚げる高梨

スキー第84回宮様国際大会ジャンプノーマルヒル

(3月1日 札幌市宮の森=HS100メートル、K点90メートル)
 高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)が強行日程にもめげずに盤石の強さを示した。個人で銀、混合団体で金を獲得した世界選手権から帰国してわずか2日後の試合。シーズン終盤で両足にもダメージが残る状態で、1本目に最長不倒の97・5メートル、2本目に84メートルを飛び合計224・0点。昨年6月に亡くなった寛仁親王殿下の次女・瑶子さまが観戦した台覧試合で、2位に約30点の大差をつけて大会初優勝を飾った。

 疲れの残る体が無意識のうちにブレーキをかけた。高梨は1本目の97・5メートルに対して2本目は84メートル。「まあまあいい風をもらえていた」と振り返る状況ながら、大きく飛距離を落とした。

 原因があるとすれば、それはシーズン終盤の疲れということになる。本番前の試技ではヒルサイズを越える101・5メートルを飛んだ。そして本番の1本目もヒルサイズに迫る大ジャンプ。父・寛也さん(45)は「あの2本で“膝が痛い。すねが痛い”と言っていた」と娘の体を気遣った。

 ヒルサイズを越えるような大ジャンプは見栄えがする半面、緩斜面に降り立つために着地時の衝撃が大きくなる。高梨の両足には、そうやって受け止めてきたダメージが蓄積している。ましてこの1カ月間は、日本と海外を往復するハードな日程が続き、移動距離は、地球半周に当たる約2万1000キロ。約9600キロ離れたイタリアから2日前に帰国したばかりで、体調は万全ではなかった。

 2月のW杯札幌大会では地元で雄姿を飾れなかった。今回は海外のトップ選手は参加しておらず、勝って当然の試合だが「どれも試合であることは同じ。自分のベストを尽くすだけ」と高梨。ただ、1本目ですでに2位の茂野美咲を12メートルも上回り、2本目で無理をして体を痛めつける必要はなかった状況が低調なジャンプにつながったのだ。

 3日のラージヒルを含めて今季出場予定は残り5戦。4日には東京でIOC評価委員会による会場視察の案内役を務める。高梨は疲れがあることは否定しなかったが、「シーズンはあとちょっとなので、もうひと踏ん張り。頑張りたい」と弱音を吐くことはなかった。

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