沙羅 最年少金にあと一歩「納得のいくジャンプ」2位

[ 2013年2月23日 06:00 ]

ジャンプ女子個人で2位、金メダルは逃したが笑顔を見せる高梨沙羅

ノルディックスキー世界選手権ジャンプ女子

(2月22日 イタリア・バルディフィエメ=HS106メートル、K点95メートル)
 高梨沙羅(16=グレースマウンテン・インターナショナル)がジャンプ女子の日本勢初優勝を逃した。1回目はK点越えの104・5メートルを飛んで2位。2回目に逆転を狙ったが届かなかった。16歳4カ月での優勝なら、複合や距離を含めたノルディックスキーの世界選手権史上最年少金メダリストだったが、更新できずに2位に終わった。サラ・ヘンドリクソン(18=米国)が初優勝を飾った。

 W杯総合優勝、世界ジュニアに続く“3冠”達成はならなかった。W杯4連勝の勢いのままに乗り込んだ大舞台。日本勢では99年大会の船木以来となるジャンプでの金メダルを狙ったが、結果は惜しくも2位だった。

 競技開始から徐々に風が弱まっていき、小雪舞うコンディションとなった。1本目はライバルのサラ・ヘンドリクソンが高梨の直前で106メートルの大ジャンプ。着地でのテレマークも決め、叫び声を上げて喜んだ。だが、これを見ていた高梨もひるまなかった。負けじとヒルサイズに迫る104・5メートル。ガッツポーズとともに白い歯をのぞかせた。3・3点差の2位につけたものの、ここから逆転することはできなかった。

 開幕前には海外の複数のテレビ局からもインタビューされ、世界的にも注目度は上がってきた。「W杯ではないことなので、規模が大きいんだな」と女王として世界選手権ならではの熱気を感じながら迎えた試合。W杯総合優勝に続く、世界ノルディックでの最年少優勝記録も懸かっていた。しかし、試合前日には珍しく「あまり調子は良くない」と浮かない顔で話していた。その予感が的中してしまった。

 W杯総合優勝を決めた先週のスロベニアのジャンプ台の助走路は傾斜が急で、今大会の緩やかな台とは対照的。19日の公式練習の最初に失敗して「飛び出しで迷いがある。前の台の感覚が残っている」と語っていた。本番でも、どこかにその残像があったのかもしれない。

 14歳で初出場した2年前の世界選手権は6位止まりだった。試技では最長不倒の距離をマークしながらも、濃霧に見舞われた1回目に踏み切りのタイミングが合わずに出遅れた。今回は2位につけて逆転のチャンスを迎えていたが、またしても金メダルには届かなかった。

 だが、まだ大会は終わったわけではない。高梨は24日の男女混合団体に出場予定。日本チームにとっては唯一無二の貴重な戦力となる。高梨にとっても悔しさをぶつけ、金メダルを手にするまたとないチャンスになる。

 ▼高梨沙羅の話 自分の中でも納得のいくジャンプが2本そろえられた。いい内容で終われて良かった。サラ・ヘンドリクソン選手は強いなと感じた。彼女が勝ってわたしも刺激を受けた。本当に素晴らしいジャンプだった。

続きを表示

この記事のフォト

2013年2月23日のニュース