沙保里「悪い夢なら覚めて…」東京五輪招致にも影響必至

[ 2013年2月13日 06:00 ]

20年東京五輪招致イベントで絵馬に東京五輪開催の願いを書いていた吉田沙保里だったが…

レスリング五輪除外危機

 ロンドンで五輪3連覇を達成し、国民栄誉賞も受賞した吉田沙保里(30=ALSOK)もレスリングが除外対象となったことを知り「本当に決まったわけじゃないですよね?」と絶句した。この日は、母校の至学館大で練習を行っていたが、練習終了後に衝撃的なニュースを聞いたという。「何とも言えない気分ですね」と繰り返した。

 V14を目指す世界選手権(9月、ハンガリー・ブダペスト)の出場権獲得のために、6月の全日本選抜選手権で復帰する予定で、今月に入り自衛隊で出稽古を敢行するなど本格的に練習を再開していた。それだけに衝撃は大きく「20年五輪が東京に来たら、私は出場したい、と公言してきたんで、本当に残念」と言葉を詰まらせた。

 吉田自身が競技にのめり込むきっかけとなったのは、五輪で活躍した柔道女子48キロ級の田村亮子(現姓・谷、現参議院議員)の存在をテレビで知ったから。初めて出場した競技会で敗れ「メダルが欲しい」と泣いた吉田に、幼少時に指導していた父・栄勝さんが「メダルはスーパーには売ってないから、頑張らなければもらえないんだ」と諭され真剣に取り組むようにもなった。五輪という存在の大きさを知るだけに、ショックは人一倍だった。

 さらに、現在は20年夏季五輪の東京招致のアンバサダーとして、さまざまなイベントに出演中。中心的な存在の競技がなくなれば、柔道のパワーハラスメント問題で吹き始めた東京への“逆風”は、さらに強まる可能性もある。「今、五輪を目指して頑張っている子供たちのことを思うと…」。自らを成長させてくれたレスリング、そして五輪への思いはどこへ行くのか…。5月のIOC理事会で復帰する可能性は低いとみられるが「まだ正式に(除外が)決まったわけじゃないけど、悪い夢なら覚めてほしい」と現実を受け入れられない様子だった。

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2013年2月13日のニュース