パワハラ問題で揺れる中…浅見、雑音封印V

[ 2013年2月11日 06:00 ]

女子48キロ級決勝、フランス選手を破り優勝した浅見八瑠奈(上)

柔道グランドスラム・パリ大会

(2月9日 パリ・ベルシー体育館)
 男女7階級を行い、女子48キロ級では浅見八瑠奈(24=コマツ)が決勝で地元フランス選手を下し、優勝した。同52キロ級も橋本優貴(23=同)がV。パワーハラスメントの集団告発で揺れた日本女子が、あらためて強さを見せた。また、男子60キロ級は高藤直寿(19=東海大)が5試合にオール一本勝ちし、東京に続きグランドスラム大会で連続優勝を飾った。

 4試合で一本勝ちは1つだけでも、浅見の安定感は光っていた。相手に与えたポイントはゼロ。表情をあまり崩さず、昨年12月の東京大会に続き、グランドスラムの表彰台の真ん中に立った24歳は「コンディションはあまり良くなかったけど、その中で優勝という結果が出た」と冷静に振り返った。

 渡仏前にはパワハラの集団告発という前代未聞の事態が発生し、園田隆二監督が辞任。日本女子は好奇の目にさらされる事態となった。この日もその問題に質問が及ぶと「答えられない。この試合に集中したいと思ってやった」と言葉に詰まるなど、動揺は隠せない。だが、世界選手権連覇中の実力者は、畳の上では別格。決勝もロンドン金メダルのメネセス(ブラジル)を下した地元フランスのパエから小外刈りで技ありを奪い、明確な差をつけた。

 今大会は脚取りが完全禁止されるなどの新ルールが試験導入されて初のビッグイベント。組み合わなければすぐに指導が出されるルール適用に対し、組み際の技出しの速さで勝負する浅見が戸惑うシーンも見られた。「動きの中から技が出なかった。組み手を意識し過ぎて足が止まった」と反省もした。だが、ロンドン五輪代表を逃した屈辱から立ち上がった“現役女王”は、歩みを止めるわけにはいかない。目標は今夏の世界選手権(リオデジャネイロ)での大会V3だ。

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2013年2月11日のニュース