羽生、SP首位も…世界最高得点に及ばず「くそ~!」

[ 2013年2月9日 06:00 ]

<フィギュア四大陸選手権>男子SPで首位に立った羽生

フィギュアスケート四大陸選手権第1日 男子SP

(2月8日 大阪市中央体育館)
 男子ショートプログラム(SP)で、昨年末の全日本選手権を制した羽生結弦(はにゅう・ゆづる、18=東北高)が87・65点で首位に立った。4回転トーループは完璧に決めたものの、3―3回転のコンビネーションが1―3回転になり、自身が持つ95・32点の世界最高得点には遠く及ばず、9日のフリーでの好演技を誓った。高橋大輔(26=関大大学院)は82・62点で4位、無良崇人(21=中京大)は78・03点で8位と出遅れた。

 演技後の第一声が、全てを物語っていた。エレキギターの哀愁漂うサウンドが終わると、大歓声の中で羽生が叫んだ。「くそ~!」。87・65点で高橋らを抑えて首位に立ったが、昨年11月のNHK杯でマークした世界最高得点の95・32点には遠く及ばず。「気持ち悪いです。“あ~、もうっ”って感じ。ホントはガッツポーズできるくらいの演技だったのに、もったいない」と苦笑いを浮かべた。

 冒頭の4回転トーループは出来栄え評価で2・00点、トリプルアクセルは2・71点もの加点を引き出した。単純に跳ぶだけでなく、着氷後の流れも意識したスーパージャンプ。「余韻を残しながら、ジャンプでも表現できるようにした」。だが、最後の3回転ルッツ―3回転トーループのコンビネーションが1―3回転に。ブライアン・オーサー・コーチからは「ルッツはどうした!?」と演技後に指摘された。ミスに肩を落としたが、表現力が評価される5項目の演技点で、高橋を超えるハイスコアをマーク。「良かったところも凄くあった」と振り返った。

 昨年末の全日本選手権で高橋を撃破し、15大会ぶりに高校生王者に。日本のエース争いも激化しているが、意欲を駆り立てる要素は他にもある。自身と同じオーサー・コーチに師事するフェルナンデス(スペイン)が、1月末の欧州選手権を制した。しかも、4回転をSPで1本、フリーで3本決める圧巻の内容。「クラブメートとして誇りに思う。ボクもレベルアップしたところを見せないと」。身近にいる強力ライバルが、羽生の成長を後押しする。

 2位の閻涵と2・57点差、4位の高橋と5・03点差と接戦だが、9日のフリーへ自信満々だ。「この位置はベスト。悔しい思いもある中で1位というのは安心感がある。やりやすい心境。プラスに考えて、集中してやりたい」。今大会に向けて4回転トーループだけでなく、4回転サルコーを重点的にトレーニングしてきた。2種類の大技を完璧に決めて、18歳の若武者が表彰台の真ん中へ駆け上がる。

 ▼四大陸選手権 国際スケート連盟(ISU)主催で99年2月に第1回大会がカナダ・ハリファクスで開催された。欧州以外の国の選手が出場可能。かつてはレベルが低かったが、近年はトップ選手が出場。浅田は08、10年大会で優勝。高橋は08、11年大会で優勝。日本開催は00年(大阪)以来2度目。

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