川内 世界陸上当確!大会新V 休む間もなく3月ソウルへ

[ 2013年2月4日 06:00 ]

別府大分毎日マラソンで2時間8分15秒の大会新記録で優勝し、ガッツポーズする川内優輝選手

スポニチ後援第62回別府大分毎日マラソン 

(2月3日 大分市高崎山うみたまご前~大分市営陸上競技場間)
 公務員の最強市民ランナーが激走だ。8月のモスクワ世界選手権代表選考会を兼ねて行われ、川内優輝(25=埼玉県庁)が、大会新記録&自己新記録の2時間8分15秒で優勝。ロンドン五輪6位の中本健太郎(30=安川電機)とのマッチレースを制し、昨年12月の福岡国際で日本人トップだった堀端宏行(26=旭化成)の2時間8分24秒も上回り、代表入りを確実にした。今後もソウル国際マラソン(3月17日)に出場するなど、走りまくるスタイルで大舞台での上位進出を目指す。

 歓喜のフィニッシュとは違う。パフォーマンスをしている暇があったら、1秒でも早くゴールに飛び込むのが川内のスタイルだ。「わざわざタイムを落としてまで、ガッツポーズをする必要はない」。拳を握りしめることもなく、前のめりに駆け抜けると、大きく息を吐き出して天を仰いだ。2時間8分15秒は大会新記録&自己新記録。世界選手権代表を確実にした公務員の最強市民ランナーは「ホントにうれしいです。やっぱりマラソンは楽しいっ!」と殊勲の汗をぬぐった。

 28キロからロンドン五輪で日本人最上位の6位に入った中本とのマッチレースだ。川内の表情はゆがみ、給水では大きく口を開けてドリンクをガブ飲み。「周りから見ると無駄と思われるかもしれない」と何度も仕掛けたが、ライバルが離れない。川内の限界も迫る中、40・5キロの5度目のスパートでようやく勝負を決めた。「苦しいところで前にいけた。攻めて勝てて自信になる」。スピードがなくてもマラソンで結果を残してきた、中本という“粘りの鬼”を節分に退治した。

 1月はエジプト国際マラソンから帰国した翌日に駅伝に出場するなど常識を破り続けているが、今大会までに科学的なアプローチにも着手した。福岡大で耐乳酸値(筋肉中にため込むことのできる乳酸量)や最大酸素摂取量を測定。自分の体の状態をより詳しく知ることでトレーニングに生かした。そして、体重が約66キロで惨敗した昨年12月の福岡よりも2~3キロ絞り、今大会は軽量ボディーで出場した。一方、前夜は勝負飯のカレーを大盛りで3杯完食。レースでは腕時計をつけず、タイム無視で駆けた。科学と非科学を融合させる川内流で、09年に初マラソン20位だった別府大分を制覇。「4年後に1番になれると思っていなかった。この4年で成長できた」と胸を張った。

 目標の2時間7分台には届かなかったが、福岡での堀端のタイムを上回り、モスクワ世界選手権の代表入りは確実だ。「福岡のタイムを抜いたのは大きい。相当なPRになったと思う」。国内最終選考会のびわ湖毎日(3月3日)には出場せず、ソウル国際マラソンで2時間7分台の好記録を狙う。「世界選手権に向けて、もっと実戦で磨いていきたい。モスクワでは8番に入れるようにやっていく」。国内外問わずに走りまくる川内が、大舞台でも予測不可能なゴールを演出する。

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