大鵬さんに1500人が別れ…政府は国民栄誉賞を検討

[ 2013年2月1日 06:00 ]

元横綱・大鵬の納谷幸喜さんの告別式で参列者にあいさつをする芳子夫人(左)ら親族

 19日に心室頻拍(ひんぱく)で死去した大相撲の元横綱・大鵬の納谷幸喜さん(享年72)の葬儀・告別式が31日、東京都港区の青山葬儀所で営まれ、角界関係者や一般ファンら約1500人が参列。出棺の後、霊きゅう車は納谷さんとゆかりのあった両国国技館や二所ノ関部屋を巡った。政府は史上最多32回の優勝など輝かしい功績を残した納谷さんに国民栄誉賞を授与する方針を固めた。

 納谷さんの告別式が行われたこの日、偉大な功績を称える栄誉が遺族に届いた。政府は昭和の大横綱に対して国民栄誉賞授与を検討する方針を固め、菅義偉官房長官は「多くの国民に希望と勇気を与え、大相撲界の発展に顕著な貢献をした」と理由を述べた。受賞となれば大相撲では2人目。現役時代に受賞した九重理事(元横綱・千代の富士)は「一人でも多く相撲協会にいた人から(受賞者が)出るのはうれしいことだ。実現したらいいですね」と話した。

 涙の告別式。午後0時5分、納谷さんの遺体を乗せた霊きゅう車が青山葬儀所を出発すると、会場のいたるところから「大鵬ありがとう」の言葉が湧き起こった。納谷さんを「角界の父」と慕った横綱・白鵬は棺を担ぎ、今にも泣きだしそうな表情。弔辞では、自分のしこ名が大鵬に由来していることにも触れ「悲しくて仕方ありません。厳しい言葉を(もっと)直接いただきたかった」と悼んだ。また、亡くなる2日前に見舞っており「最後にお会いしたときの“しっかりやれよ”という言葉を胸に精進していきます」と誓った。

 この日は角界関係者、ファンを合わせた約1500人が参列。喪主で妻の芳子さん(65)は「引退してからは病気との闘いでした。最後まで横綱として立派に闘い抜きました。天国から力士や孫たちにも時々気合を入れてあげてくださいね」と涙声であいさつした。

 出棺の後、霊きゅう車は納谷さんとゆかりのあった場所を巡り、午後1時5分すぎ、約300人のファンが集まる両国国技館で出迎えを受けた。葬儀委員長も務めた北の湖理事長(元横綱)は「ファンの皆さんも来ていただいて、相撲の発展に努力しないといけない」と人気回復を誓った。

 ◇主な参列者 北の湖理事長(元横綱)、貴乃花親方(元横綱)、阿武松親方(元関脇・益荒雄)、横綱・白鵬、大関・琴奨菊、大関・琴欧洲、小結・松鳳山、海老沢勝二、井岡弘樹、鈴木宗男、黒柳徹子、北大路欣也、橋幸夫、やくみつる (敬称略 順不同)

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