日馬V王手!破竹13連勝で横審黙らせた

[ 2013年1月26日 06:00 ]

日馬富士(左)は稀勢の里を送り出しで破る

大相撲初場所13日目

(1月25日 両国国技館)
 日馬富士が稀勢の里を送り出しで破って全勝を守り、賜杯獲得に王手をかけた。14日目に日馬富士が勝つか、2敗の白鵬、高安がともに敗れれば、日馬富士の2場所ぶり5度目の優勝が決まる。把瑠都は6敗目となり、来場所の大関復帰の望みがなくなった。幕下陥落なら引退を公言している高見盛は、木村山を寄り切って4勝目を挙げ、十両残留の可能性がある6勝へ望みを残した。

 猛牛の突進をかわす闘牛士のようだった。日馬富士は、立ち合いで稀勢の里に右から張られても動じなかった。前に出てくる相手の力を利用し余裕をもって左に回り込む。目標を失い勢い余った大関は、たまらず自分から土俵の外に飛び出すしかなかった。

 狙い通りの一番に支度部屋では「張ってくると思わなかった。久しぶりに張られた。でも、とっさに体が動いた」と振り返り、「稽古場通り、激しい相撲を期待していたけど。そうならずに残念」と物足りなささえ口にした。

 心身の充実ぶりは誰の目にも明らかだ。この日、升席で観戦した横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社長)は「優勝間違いなし。横綱の役割を果たしている。これだけ土俵を沸かせればね。そんなに厳しい注文を付けることはない。もう1敗くらいしてもいいんじゃないの」とべた褒め。横綱デビューの先場所9勝に終わり、「11勝できなければ何らかの勧告」と指摘していた横綱の“お目付け役”が、そのことを忘れたかのように180度の方向転換だ。さらに北の湖理事長(元横綱)も「優勝を逃すことはないだろう。しっかり、ものにしてほしい」と期待を寄せた。

 14日目の鶴竜戦に勝てば通算5度目の優勝が決まる。横綱昇進を懸け賜杯を争った昨年秋場所との心理的な違いを聞かれ「今は勝って当たり前」と言い切った。その表情には、地位にふさわしい覚悟と自信がにじみ出ていた。

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2013年1月26日のニュース