高見盛9敗目 引退決定的も「千秋楽まで取らなきゃ」

[ 2013年1月25日 06:00 ]

取組前に気合を入れる高見盛

大相撲初場所12日目

(1月24日 両国国技館)
 十両・高見盛(36=東関部屋)の現役引退が決定的となった。徳勝龍(26=木瀬部屋)に突き出され、痛恨の9敗目。十両残留の目安となる7勝に届かなくなり、幕下陥落の可能性が高くなった。陥落なら引退することを公言しているが、わずかに残る十両残留の可能性に懸けて千秋楽まで土俵に上がり続けることを宣言した。
【取組結果】

 今にも泣きだしそうな表情で下を向きながら花道を引き揚げる“角界のロボコップ”に、館内からは激励の拍手と「頑張れ!高見盛!」という温かい声援が飛んだ。

 取組前には、いつも以上に強く胸を両手で叩き、腕を下ろしながら「ホウ!ホウ!」と大声を発した。しかし、土俵では10歳年下の徳勝龍になすすべなく突き出され、9敗目。残り3番を全勝しても6勝9敗で、原則的に番付が3枚落ちる。十両最下位から3番目の東12枚目の高見盛の十両残留は厳しくなった。

 それでも幕下上位の成績次第ではわずかに可能性が残る。陥落なら即引退することを公言している36歳は、進退に触れることなく言った。「千秋楽まで取らなきゃいけない。一日でも長く取らないといけない」

 高見盛にしては珍しく待ち構える50人以上の報道陣を避けて通常とは別の通路を通って支度部屋から外に出た。「申し開きは一切したくない。あしたも取らなきゃいけない。集中したい」。タクシーに乗り込む直前、ようやく質問に答えた。

 体は限界を超えている。2日目の鏡桜戦で生命線の右肩をひねった。翌日にはエックス線検査を受け「三角筋付着部炎症」と診断された。いわゆる筋肉の挫傷だ。朝稽古後と取組後に部屋近隣の有道接骨院(東京都墨田区)で約1時間の施術を受け、テーピングを施してもらう。

 2年前から高見盛の体を診ている大野有道院長(33)は「右手が上がらない。通常は3週間で痛みが取れるが毎日土俵に上がっているので難しい」と説明するが、本人は「命懸けで千秋楽まで土俵に上がる」と言い、痛み止めの薬や注射も「痛みを消すとむちゃしてしまうから」と拒否しているという。大野院長によると筋断裂などの可能性も否定できないため場所後には精密検査を受ける予定。来場所も現役を続けたいという意思がそうした行動につながっている。

 5日目からの8連敗で立場は苦しくなった。それでも、貫いてきた相撲道は変えない。それが高見盛だ。

 ▽高見盛の十両残留は? 残り3日間全勝が最低条件。その上で十両下位と幕下上位の成績次第ということになる。現時点で城ノ龍、琴禮が十両から幕下に転落することが確定しており、高見盛のほか、宝智山、鏡桜にも陥落の可能性がある。幕下からは鬼嵐、栃飛龍、千昇の十両昇進が確実。さらに北はり磨らにも昇進の可能性がある。

続きを表示

この記事のフォト

2013年1月25日のニュース