師匠、稽古見守って…“大鵬道場”土俵に遺体安置

[ 2013年1月21日 06:00 ]

元横綱・大鵬の納谷幸喜さん死去

 悲しみを抱えながら、大鵬部屋の流れをくむ大嶽部屋の力士が21日に稽古を再開する。大嶽親方(元十両・大竜)はこの日、「あした(21日)から親父(納谷さん)の前で四股を踏めと言います。生前に親父が言っていたことに近づけるようにします」と明かした。

 心室頻拍で亡くなった納谷さんの遺体は19日に東京都江東区清澄の大鵬道場の看板が掲げられている大嶽部屋に戻り、1階にある稽古場に安置された。上がり座敷と平行に土俵に板を敷き詰め、半分程度ふたをしたような状態で場所を確保。その上に布団を敷き、安らかに眠っている。弔問客にも顔が見えるようにされている。前夜は弔問客への対応で部屋全体が慌ただしかったため、この日の朝稽古は休みになった。だが、納谷さんは生前、「力士は何があってもまわしをつけて稽古することが大事だ」と口うるさく言っていただけに、その遺志を守り早くも稽古を再開する。土俵は半分しか空いていないため申し合いなどはできないが、納谷さんが眠る横で相撲の基本である四股を踏む。

 04年に大鵬部屋から大嶽部屋に変わったが、大鵬部屋時代から在籍している力士は8人中3人。そのうちの一人で、最年長の32歳の闘鵬(西三段目36枚目)は「今も(納谷さんの)言葉が残っている。場所中だから稽古しないといけない。(遺体の間近での稽古だけに)気が引き締まります」と話した。大横綱だった納谷さんに魂のこもった四股を見せることが、何よりの恩返しとなる。

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2013年1月21日のニュース