大鵬魂で全勝優勝だ!日馬、V率100%ストレート給金

[ 2013年1月21日 06:00 ]

白鵬が見つめる中、臥牙丸を引き落とす日馬富士

大相撲初場所8日目

(1月20日 東京・両国国技館)
 横綱・日馬富士が体重差79キロの臥牙丸を引き落とし、8戦全勝で勝ち越しを決めて単独トップを守った。前日に心室頻拍(ひんぱく)で亡くなった元横綱・大鵬の納谷幸喜さん(享年72)をしのんで土俵に上がり、完勝。大横綱が果たした史上最多の32回の優勝を目標に横綱人生を歩むことを誓った。納谷さんの通夜は場所後の30日、告別式は31日に行われ、大嶽部屋の力士は21日に納谷さんの遺体が安置されている土俵で稽古を再開する。

 小さな体でも活躍できるという希望を与えてくれた大先輩を弔い、結びの土俵に上がった。そして幕内最軽量133キロの日馬富士は横綱相撲で白星をつかんだ。仕切り線で対じしたのは最重量212キロの臥牙丸。頭からぶちかまして突き放すと、いなしながら再度突き放した。最後は抜群の運動神経を生かして相手の右手をつかみながら引き落とし、幕内唯一のストレート給金。引き揚げてきた支度部屋では、やはり前日に亡くなった元大鵬の納谷さんとの思い出に浸っていた。

 「大関時代に“頑張れ。無理するな”という言葉をもらった。偉大な方にコメントをもらえて、うれしくて勇気とやる気をもらいました」

 “頑張れ”という激励だけではなく“無理するな”という自戒の心を持つことを促したのが大横綱たるゆえん。昨年11月の九州場所で両足首を痛めて9勝6敗だった日馬富士だが、納谷さんも現役時代の65年夏場所に左足首関節骨折で9勝6敗。横綱として15日間白星と黒星がついた場所で唯一の1桁勝利に終わり、綱の役割を果たせなかった。それでも翌場所は13勝2敗で17度目の優勝。故人はケガの怖さを誰よりも知っていた。時代を超えて“シンクロ”する出来事だけに、自らが小さな体だからこそ送られたアドバイスだったと日馬富士は解釈していた。

 この日の朝稽古後。納谷さんが眠る大嶽部屋に出向き、線香を上げ、献花。横綱昇進の報告を果たせなかったことが心残りだった。「安らかに眠られていた。しっかりとあいさつしてお祈りしました。その時に(納谷さんが)自分の前に立ったように見え(生前時の)顔が浮かびました」。史上最多の優勝回数32回について優勝4回の日馬富士は言う。「恩返しをしたい。目指し、目標を持っていきたい」――。初日からの8連勝を果たした過去4度は全て優勝。千秋楽で抱くことを思い描く5度目の賜杯は、伝説の32回への始まりだと信じている。

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