日馬“禁じ手”張り手出た!闘魂相撲で6連敗免れた

[ 2013年1月14日 06:00 ]

白星発進の日馬富士だが、栃煌山(左)に立ち合いから攻め込まれる

大相撲初場所初日

(1月13日 両国国技館)
 先場所9勝からの巻き返しを期す横綱・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)が小結・栃煌山(25=春日野部屋)を寄り切り、順当なスタートを切った。東京開催場所の初日では、10年初場所以来の入場券完売となる中で、張り手を交えた気合十分の相撲で満員の観客の期待に応えた。24度目の優勝を狙う白鵬(27=宮城野部屋)も結びで勝利を飾るなど3場所ぶりに横綱、大関陣全員が白星で発進した。
【取組結果】

 悪い流れを断ち切るためには、なりふり構わず行動するしかない。横綱として5連敗中の日馬富士は、立ち合いで栃煌山にやや押されると、品格を重視する横審の一部委員から禁止と忠告されている“張り手”で反撃。「自分の相撲を取るだけ」と左から一発食らわせて相手の懐に潜り込み、右を差して一気に寄り切った。2場所連続全勝Vを果たした時のような闘魂相撲で横綱史上ワーストタイとなる6連敗を免れ「いいじゃないですか」と手応えを口にした。

 悪夢の新横綱場所から何もかもリニューアルした。土俵入りの際には富士山を背景に「天・地・仁」と書かれた化粧まわしを国技館で初披露し、太刀持ちが使う太刀も“刀鍛冶の横綱”と呼ばれる3代目吉原国家(くにいえ)氏が製作したものを本場所で初めて使った。

 取組の際に締めた新品の締め込みは、折り目の内側に「必勝」という文字の刺しゅうが入った特注品。この日朝には試着して感触を確かめ、稽古後には締め込みの上に大量の塩をまいて“お清め”した。さらに極めつきは下着だ。付け人がピンク色のパンツを準備したが「違うのないか」と指示。締め込みと同じお気に入りの黒色に替えさせ、正念場の場所初日に挑んでいた。

 ただし、不名誉な記録は免れたものの、まだ先は長い。国技館の正面升席で見守った横審の鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社社長)は「危ないと思ったが力が残っている。大丈夫だ」と評価しながらも、場所前には「11勝以上」と設定した合格ラインを「最低でも12勝」と“格上げ”した。新年の幕開けに「目を開けるのが怖いくらいの悪夢を見た」という第70代横綱。夢の中にまでも迫りくる綱の重圧に打ち勝つべく、順調な滑り出しを見せても「一日一番。それだけです」と短い言葉で気合を入れ直した。

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