東京「コンパクト」五輪 ボルト級ダッシュ宣言

[ 2013年1月9日 06:00 ]

2020年夏季五輪の「立候補ファイル」を公表し、笑顔でポーズをとる(左から)JOCの竹田恒和会長、東京都の猪瀬直樹知事、土田和歌子、吉田沙保里、下村文科相、招致委員会の荒木田裕子理事

 20年夏季五輪開催を目指す東京の招致委員会は8日、国際オリンピック委員会(IOC)に7日に提出した「立候補ファイル」を公表した。IOCの14項目の質問に答える形で記された開催計画で、選手村から半径8キロ圏内に競技会場の85%を配置する「コンパクトな五輪」を打ち出した。招致委員会会長の猪瀬直樹都知事は、ロンドン五輪の陸上男子100メートルを制したウサイン・ボルト(ジャマイカ)に言及し、9月7日までの招致活動のスタートダッシュを誓った。

 7日にスイス・ローザンヌのIOC本部に立候補ファイルが提出され、この日から国際プロモーションが解禁された、いわば選挙公示日。「DISCOVER TOMORROW~未来(あした)をつかもう」の国際スローガンを前に、猪瀬知事から飛び出したのは、世界の意外な人物の名前だった。「私はロンドンでウサイン・ボルトの決勝を見ました。東京の招致もスタートが大事」。決意を込めた“宣戦布告”だ。

 公開された立候補ファイルは、28競技の33会場のうち28会場が、中央区の晴海に建設される選手村から半径8キロ圏内。選手の移動を最小限に抑えるコンパクトさが売りだ。昨年提出された申請ファイルと比較すればゴルフ(埼玉・霞ケ関CC)、自転車(ロード)の会場が変更となったが、これは競技団体との打ち合わせの結果。16年立候補時に手狭と評価された選手村も31ヘクタールから44ヘクタールに拡大されており「前回の経験を踏まえてブラッシュアップした」と自信を示した。

 昨年5月の立候補都市選定の際、IOCが計画に下した評価は「非常に強力」とされた東京が「強力」のマドリード(スペイン)、「潜在力がある」のイスタンブール(トルコ)を抑え1番手。だが、16年五輪招致も4都市の中で最高評価を受けながら最終選考は2番目で落選した苦い思い出がある。同知事は「同じ轍(てつ)を踏まないようにもう一度考える必要がある」と、先行逃げ切りの考えをアピールした。

 そのために、まず本人が動く。9日にはロンドン入り。招致大使を務めるサッカー女子日本代表の澤穂希(INAC神戸)らとともに10日に海外メディア向けの会見を行い、東京の素晴らしさを訴える予定だ。弱点とされる開催支持率にも「今は心のデフレを取り払って、もっと大きな希望を持ちたいという気持ちが強くなっている」と自信を見せた旗頭が、宣言通りのスタートダッシュを決める。

 ▼下村博文文部科学相 東日本大震災からの復興を世界に示す五輪にしたい。

 ▼招致委員会竹田恒和理事長 日本のスポーツ界の夢、そして東京の都市力が凝縮された立候補ファイルになった。先進的で安全な大都市である東京の中心で卓越した祝祭を世界に発信していくことを願っている。

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2013年1月9日のニュース