日馬富士が開き直り荒稽古 稀勢にダメ押し連発

[ 2013年1月9日 06:00 ]

土俵を割った稀勢の里にダメを押す日馬富士(右手前)

 大相撲初場所(13日初日、両国国技館)で巻き返しを期す横綱・日馬富士(28=伊勢ケ浜部屋)がダメ押し全開の荒稽古で、親方衆のひんしゅくを買った。8日、東京都江東区の尾車部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古に参加し、故意によるダメ押しや相手が土俵を割っても相撲を取り続けるなど大暴れ。松ケ根親方(元大関・若嶋津)の口頭注意にも気にするそぶりは見せず、本領発揮の一日となった。

 アウェーでも、やりたい放題。日馬富士が全身を真っ赤にさせて躍動すると、上がり座敷で見守った二所ノ関一門の親方衆の表情がみるみる険しくなった。

 午前9時40分、熱気が充満する稽古場に横綱らしく最後に登場。まずは肩慣らしとばかり大関・鶴竜を6勝1敗と圧倒。ここまでは冷静な取り口だったが、本領発揮は大関・稀勢の里との三番稽古だ。最初の一番では寄り切った後に顔を手で押しやり、5番目の相撲では寄り切った相手を土俵に引き戻し、足をつかみながら土俵外に出した。直後には、相手が土俵を割っているにもかかわらず強引に中央に引き戻して投げを試みた。これまでも「ダメ押し」の常習犯と言われていたが、全力士のお手本となるべき地位になっても品格は欠如。二所ノ関一門で副理事を任されている松ケ根親方が厳しい言葉を投げかけた。

 「横綱、勝負あったよ。横綱がそんなことをしちゃあダメだ」

 さすがにバツが悪かったのか、日馬富士はそこで稽古を打ち切り。2大関に11勝1敗と実力を見せつけただけに「悪くない」と振り返った。だが、しっかり反省の態度を示せば良かったのだが、「落ち」をつけるのが朝青龍の弟分たるゆえんか。稀勢の里との荒稽古については「いつもああいう稽古してるじゃん」と、開き直った。

 新横綱場所だった九州場所は9勝6敗。横綱審議委員会の鶴田卓彦委員長(元日本経済新聞社長)からは前日に「11勝しないとまずい」とくぎを刺されたばかりだが、それについても「一日一番頑張るだけ」と受け流した。9日も二所ノ関一門の連合稽古に参戦予定。どんなことを言われようが自らの道を歩む決意でも、「勝てば官軍」は相撲界では通用しない。

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2013年1月9日のニュース