日体大30年ぶり総合V!4年生が最後に意地の力走

[ 2013年1月4日 06:00 ]

やった30年ぶり総合優勝!10区・谷永(手前)を笑顔で出迎える日体大のメンバー

第89回箱根駅伝

(1月3日 箱根・芦ノ湖~東京・大手町、復路5区間109・9キロ)
 伝統校が鮮やかによみがえった。3年生以下の布陣で往路26年ぶりVを果たした日体大は、復路で起用された3人の4年生が全員区間2位という安定した走りを見せ、11時間13分26秒で30年ぶり10度目の総合優勝を果たした。予選会からのVは97年の神奈川大以来、史上2校目。前年は史上最悪の19位に沈んだ名門はチーム改革でよみがえり、完全復活。2位の東洋大に4分54秒の大差をつける圧勝は、新黄金時代の到来を予感させる。

 胸に青く染め抜かれた「日本体育大学」の文字を誇らしげに何度もつかんで、谷永がゴールテープを切ると、30年ぶりの歓喜の輪をつくる前に全員で一礼した。復活を支えた、全てへの感謝。それが、伝統校復活への道のりの厳しさと重さ。史上最悪の19位に沈んだ昨年1月3日から1年。3年生だった昨年は4区14位だった谷永は「今の4年生は弱い、と思われたまま卒業したくなかった」と最上級生の気持ちを代弁した。

 3年生以下の5人で往路V。前夜は、復路にエントリーされていた4年生3人に、メンバーから外れた同級生からメール、電話が続々と届いた。「俺たちの分まで頼む」。3年生主将という別府監督の異例の決断で、屈辱を味わった学年が最後に見せた団結だった。4年生のリーダー的存在で、4区に入りながら、体調不良で自ら交代を申し出たという福士に、中継所までサポートしてもらった8区の高柳は「あいつの気持ちを考えると、たまらない気持ちになった」と振り返った。

 芦ノ湖で2分35秒だったリードは、6区の鈴木(3年)で2分22秒差。追ってくる東洋大、駒大という2強の恐怖。だが、続く7区の高田が2分51秒差まで突き放すと、8区の高柳、そしてアンカー谷永と4年生が好走を続け、影を踏ませなかった。昨年は疲労骨折で直前に出場を回避し、責任を感じたという高田は「前回はチームの役に立てなかったので、今回は走れてよかった」と安どの表情を浮かべた。

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