日体大 福士 最悪の一日に誓った「最高の結末」

[ 2013年1月1日 11:12 ]

第89回箱根駅伝

 昨年1月3日は、日体大の福士優太朗(4年)にとって、最悪の一日だった。体調不良を誰にも知らせず走った6区は区間最下位。64年連続出場だったチームは史上ワーストの19位に沈んだ。

 その責任を感じる以上に衝撃だったのは、ゴール後の大手町で別府健至監督(46)が下した決断。つまり、1学年下の服部翔大(3年)が主将に選ばれたことだった。

 「日体大のエースで主将になる、という夢がついえてショックだった」。中学3年時に1500メートルの記録会で全国2位となった日体大の健志台キャンパスは、ずっと憧れであり目標だった。兵庫の強豪・西脇工から迷わず進学。だが、その強い思いを監督にぶつけ、主将就任を訴えた3日の夜、「4年生には任せられない」という言葉と現実にまた、衝撃を受けた。

 新主将に選ばれた服部は、レースの2週間前に父・重夫さん(享年50)を亡くしながらチームメートにそのそぶりすら見せずに、1区を区間2位で走っていた。「服部の気持ちを知らなかった自分が情けなかった」。だからこそ誓った。「チームを支えるのは4年生。腐ったら悔いしか残らない」。他のメンバーが10キロ走るところは14キロに、30キロ走るところは36キロに延ばし「結果で見返す」ことだけを目標にした。

 4月には西脇工時代の恩師・渡辺公二氏が特別強化委員長に就任。「おまえは3年生に負けるような選手じゃない」という言葉にも刺激された。迎えた箱根の予選会。全体14位で走った福士の走りは、65年連続出場につながった。「今まで甘かった自分に気づいた。最後の箱根は悔いなく走りたい」。最悪だったあの日から、もうすぐ2年。4区を走る2日とゴールの3日は、最高の日になると信じている。

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2013年1月1日のニュース