背伸び上等!1メートル60「爆羅騎」“盛って”合格

[ 2012年12月27日 06:00 ]

身長を伸ばそうと一生懸命背伸びする爆羅騎を玉ノ井親方が計測

 日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で初場所(来年1月13日初日)の新弟子検査を行い、前日までは1メートル60だった伊藤爆羅騎(ばらき、18=式秀部屋)が身長1メートル67以上、体重67キロ以上の合格基準を満たした。身長計の上ではかかとが上がっていたが、角界の懐の深さも味方し、奇跡の7センチアップで力士への第一関門を突破。しこ名は「爆羅騎」が有力で、三段目の兄・羅王丸=らおうまる、本名・伊藤羅王=(19=立浪部屋)との大暴れを誓った。

 前日までは合格基準に7センチ満たなかった伊藤爆羅騎が、ミラクルを起こした。身長を伸ばすための4つの秘策を敢行した高校3年生。基準ぎりぎりの1メートル67と測定され「うれしい。奇跡」と感無量の表情を浮かべた。

 秘策その1は「髪で身長を稼ぐ」。3カ月伸ばし続けた髪を部屋の床山が15分をかけてセットし、偽装に成功した。その2は「マッサージ作戦」だ。入門した22日から、来年1月から式秀部屋を継承する小野川親方(元幕内・北桜)が「背筋を伸ばし、体のバランスを整える」マッサージを伝授。おかげで推定で2センチもアップしたという。その3は「ひたすら睡眠」。起きれば身長が縮むため、前日は11時間睡眠。移動の車でも後部座席で横になり、国技館でも検査が始まる直前まで寝そべった。極めつきは「秘技背伸び」。ちゃっかり測定の際に背伸びしたが、測定した玉ノ井親方(元大関・栃東)は「気にならなかった。夢を持つ子をサポートしたいから」と話した。

 爆羅騎という名前は「強い人間になってほしい」と願う父・雅浩さんが好きなマフィア映画「バラキ」(72年製作、フランス・イタリア合作)から付けられた。伊藤はしこ名について「爆羅騎がいい」と話しており、師匠も承認済み。順当にいけば、初場所で現役最多画数(56画)力士としてデビューする予定だ。

 高校では全国大会常連で実力も十分。諦めなければ夢はかなうことを証明した伊藤の次なる夢は「横綱」だ。兄・羅王丸の本名は「伊藤羅王」で、漫画「北斗の拳」の主人公ケンシロウの好敵手「ラオウ」から取られたという。最強のしこ名を持つ兄弟が角界に殴り込みをかけた。

 ◆伊藤 爆羅騎(いとう・ばらき)1994年(平6)5月10日、埼玉県所沢市生まれの18歳。所沢市立山口小3年時に「入間少年相撲クラブ」で相撲を始めた。福岡・希望が丘高では今年の高校総体団体3位、国体個人16強。小学6年時からスカウトしていた小野川親方が来年1月から継承する式秀部屋に今月22日に入門。得意は押し。家族は父・雅浩さん、母・ロレナさん(フィリピン出身)、兄は三段目・羅王丸。1メートル67、110キロ。

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2012年12月27日のニュース