羽生 初の日本一!18歳、新エースの誕生だ

[ 2012年12月23日 06:00 ]

イナバウアーを見せる羽生

フィギュアスケート全日本選手権第2日・男子フリー

(12月22日 北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
 新エースの誕生だ。男子フリーが行われ、SP首位の羽生結弦(はにゅう・ゆづる、18=東北高)が187・55点をマーク。合計を国内最高得点の285・23点に伸ばし、初めて日本一に輝いた。高校生王者は97年の田村岳斗以来15大会ぶり。フリーで1位の192・36点を叩き出した高橋大輔(26=関大大学院)が合計280・40点で2位、無良(むら)崇人(21=中京大)が242・70点で3位に入った。

 充実の汗を光らせながら、羽生が天を仰いだ。死力を尽くした4分30秒。スコアが出た瞬間、18歳の新王者が誕生した。合計285・23点は国際大会の自己ベスト264・29点を上回る国内最高得点。来年3月の世界選手権代表入りも確実にし「まだ信じられない。初めて1位のところに乗れたのでジャンプして(表彰台に)上がってしまった」と初々しく笑った。

 SP2位の高橋が最終グループの1番手で192・36点のスーパースコアをマーク。会場が大声援に包まれたが、イヤホンを着けてウオーミングアップをしていた最終滑走の羽生は気にしなかった。4回転トーループ、4回転サルコーと大技の着氷が乱れたが、転倒することなく耐えた。「4回転が2つともうまくいかなくて残念」と振り返ったが、基礎点が1・1倍になる後半にトリプルアクセルのコンビネーションを2度成功。フリーでは高橋に及ばなかったが、SPでつけた9・64点のリードがタイトルへの道を切り開いた。

 地元仙台を離れ、今季からカナダに拠点を移した。キム・ヨナ(韓国)を10年バンクーバー五輪金メダルに導いたブライアン・オーサー・コーチに師事するためだ。リンクと自宅を往復するだけの毎日。普通の高校3年生とはかけ離れた生活の中、得意のジャンプだけでなく滑りを基本から見直した。演技点のスケーティングの技術は9・10点のハイスコア。トレーニングの成果は数字に表れた。

 ファイナルを制した高橋だけでなく、11年世界選手権2位の小塚、左膝故障から復帰した織田らハイレベルな日本男子の争いを制した。「ちょっとずつ先輩たちに近づいてきているかな」と謙遜した18歳は「来年、また違った羽生結弦が見せられると思う」と気合十分。ニッポンをけん引する新エースは、これからも進化を続けていく。

 ▼ブライアン・オーサー・コーチ (羽生は)素晴らしい演技だった。五輪でも重圧の中でやらなければいけないし、彼にとって非常にいいテストになった。

続きを表示

この記事のフォト

2012年12月23日のニュース