柔道新ルール 延長戦無制限&旗判定廃止

[ 2012年12月12日 06:00 ]

11月に行われたグランドスラム東京大会で「肩車」で一本勝ちした高藤(左)。この技も消滅する

 国際柔道連盟(IJF)は来年2月のグランドスラム・パリ大会から試験導入する新ルールを11日までに発表し、相手への連続攻撃や返し技のみに認められた「脚取り」の禁止や旗判定の廃止などを決めた。また、5分間で決着しない場合の延長戦を時間無制限にし、抑え込みを20秒で一本と短縮することも決定。来年8月27日にブラジル・リオデジャネイロで開幕する世界選手権まで実施し、適用するか判断する。

 ロンドン五輪後から論議されてきたルール改正が、明らかになった。試験的な運用とはいえ、攻撃だけでなく防御でも立ち技で脚を取るのは禁止。タックルなど下半身を直接攻撃する技は10年のルール改正で反則負けとなっていたが、流れの中での技かどうかの判定が難しかった。これはレスリングなどとの差別化を目的とするが、柔道本来の決まり技だった「肩車」や「すくい投げ」も消滅することになる。

 また、延長戦は無制限となり、旗判定は廃止。「2」以上からポイントとなっていた指導に関してもポイント制をやめ、技によるポイントが同点の場合のみ指導数で決着する方式に変更された。ロンドンでは一本勝ちによる決着が減ったため、よりエキサイティングな試合を増やす効果を期待しているとみられる。

 一方、ロンドンで旗判定が覆るという前代未聞の事態を引き起こした審判制度も見直され、畳の上で裁く審判員は3人から1人に。代わりに映像でチェックする2人の補佐役を試合会場下に設置する。ジュリーと呼ばれる審判委員は、審判員らが助言を必要とした場合に意見ができるという。

 IJF理事の上村春樹・全日本柔道連盟会長は「(64年)東京五輪の頃には反則負けはなかったし、過去には審判も1人だった。原点に回帰している」と評価する一方で「(脚取りなど)技を制約するとダイナミックさが消える。運用しながら形を変えていく必要もあるだろう」と話す。09年、暫定的に「脚取り禁止」が適用された直後の世界ジュニアでは男女計16階級中8階級で日本勢が優勝し「ジャパン・ルール」とまで呼ばれた。だが、12年のロンドン五輪の結果は金メダル1。海外勢の適応力は高く、日本勢のスピーディーな対応が結果を分けそうだ。

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2012年12月12日のニュース