藤田初日61ロケットスタート!賞金王へ独走

[ 2012年11月30日 06:00 ]

18番、パーパットを沈めた藤田寛之(右)は谷口徹が見つめる中、ギャラリーの声援に応える

男子ゴルフツアー 日本シリーズJTカップ第1日

(11月29日 東京都稲城市・東京よみうりカントリークラブ(7023ヤード、パー70)
 賞金王へまっしぐら!!賞金ランク1位の藤田寛之(43=葛城GC)が大会レコードタイ&自己ベストタイの最高のスタートを切った。1イーグル、7バーディーを奪って9アンダーの61。同組で回った賞金ランク2位の谷口徹(44=フリー)を戦意喪失させるほど隙のないゴルフで、初の賞金王だけでなく同一大会3連覇も視界に捉えた。武藤俊憲(34=赤城CC)が3打差の2位につけ、石川遼(21=パナソニック)は3アンダーの67で7位につけた。

 追われる選手と追う選手。口もきかずに緊張感に満ちたラウンド…のはずなのに、賞金王を争う2人は珍妙なやりとりを続けていた。

 藤田のあまりのロケットスタートぶりに、へそを曲げて谷口がぼやく。

 谷口「ハーフ終わったら帰ろうかな」

 それを聞いてなぜか励ます藤田。

 藤田「まだ始まったばかりじゃないですか」

 谷口「(逆転賞金王には)俺には優勝しかない。優勝の可能性がないならもう帰る」

 藤田「まあまあ、そうおっしゃらずに」

 いつも勝ち気な谷口が早々と戦意喪失モードに陥るほど、この日の藤田はさえ渡っていた。1番ではチャンスを逃して先手を取られたが、2番で13メートルのロングパットをガツンと入れ返して流れを引き寄せた。6番パー5ではカップをかすめる会心の2打目からイーグル。グリーンを外したのは1ホールだけでパーオン率は1位、平均パットも2位。特に前半は29の大爆発となった。

 スーパープレーで一刀両断するのではなく、真綿で首を絞めるように強い。ちょうど2週前のダンロップ・フェニックスを制したルーク・ドナルド(英国)がそうだった。藤田は同大会3日目にドナルドと同組になり「同じゴルフスタイルなのに、自分よりも確実に精度が高い。一緒に回って凄く息苦しかった。そんなふうに思ったのは初めて」と世界ランク2位の強さを表現した。その試合の後には師匠の芹沢信雄から「ルークみたいなゴルフをしろよ」とメッセージを受け取っていたが、この日の藤田はそれを実践してみせた。それを何より証明するのがライバルの反応。

 谷口「藤田君らしいいいゴルフだけど、あんな凄いのは初めて見た。隙がなさ過ぎてこっちがガックリくる。怖いぐらい」

 大会3連覇に自身初の賞金王、世界ランク50位以内でのマスターズ切符。3つの目標全てが現実味を帯びてくる。「結果は終わってみないと分からない。後続に追い越されないようにいかに自分のゴルフをするか」。ここからしっかりと逃げ切ってこそ、藤田の強さは本物になる。

 ≪大会最少ストローク≫61は大会最少ストロークで、07年最終日のB・ジョーンズと10年最終日の谷口に続いて藤田が3人目。藤田のツアー最少ストロークも61。09年関西オープン(宝塚GC、パー71)の3日目に記録しており、優勝。

 ≪3連覇なら大会初≫藤田が3連覇となれば大会初。メジャー大会での3連覇は73年のツアー制度施行後では例がない。73年以前では日本プロで中村寅吉(57~59年)と戸田藤一郎(38~40年)が達成している。

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2012年11月30日のニュース