松鳳山 3大関、2関脇、2小結撃破 三役昇進グイッ

[ 2012年11月23日 06:00 ]

豪栄道(右)を肩すかしで破る松鳳山

大相撲九州場所12日目

(11月22日 福岡国際センター)
 地元の大声援を受けた幕内の松鳳山が関脇・豪栄道を肩透かしで破り、上位で初の勝ち越し。来年初場所(1月13日初日、東京・両国国技館)での新三役昇進に大きく前進した。1敗の横綱・白鵬は琴奨菊を下手投げで下して、歴代最長となる6年連続で年間最多勝を達成。2敗で追う横綱・日馬富士と幕内・千代大龍は3敗に後退し、白鵬の4場所ぶりの優勝が濃厚となってきた。
【取組結果】

 館内に響き渡る「松鳳山」コール。魁皇引退後の福岡で、琴奨菊に次ぐ人気を誇るご当地力士はこの日も大声援を活力源とした。138キロと幕内で2番目の軽量ながら、体全体を使って豪栄道を揺さぶる。29秒2の大熱戦の末に肩透かしで相手を転がすと、館内からこの日一番の拍手が湧き上がった。10日目から3連勝で、上位で初の勝ち越し。今場所は3大関を撃破した上に、関脇、小結の4人を総ナメにし「よく我慢できた。上手を取られたら負けると思った。最後は2本入ったし、いっぱいいっぱいでしたが体がよく反応してくれた」と喜びを表現した。

 1年前の九州で新入幕。当時はもろ手突きを多用していたが、上位には通用せず壁にぶち当たった。しかし、秋場所前に転機が訪れた。佐渡ケ嶽部屋で行われた連合稽古で、自分と同じ小兵の日馬富士が稀勢の里、琴奨菊らを鋭い立ち合いから懐に入る取り口で圧倒。その姿に「自分もこのスタイルにするしかない」とひらめいた。もろ手突きの立ち合いを封印し、思い切って踏み込むことを心掛けると攻めのバリエーションが増加。今場所の快進撃を導いた。

 東2枚目で勝ち越しを決め、初場所での新三役も視界に入った。松ケ根部屋としては創設23年目で待望の三役力士誕生。師匠の松ケ根親方(元大関・若嶋津)は「上出来。一生懸命前に出る相撲が取れている。立ち合いを含めてよく考えている」と評価した。

 2年前には野球賭博に関与したことで幕下に陥落。一時は力士をやめようと考えた時期もあった。「三役は別物だと思っていた。そうなったら凄い。あと3日、必死に頑張るだけ」。腐っている時にも必死に支えてくれた師匠、家族、関係者のために――。恩返しの勝利を重ねていくだけだ。

 ▼北の湖理事長(元横綱)の話 四つの形はないけれど、引き足がいいから肩透かしが決まった。今場所は大関を倒して、乗っている感じがある。

続きを表示

2012年11月23日のニュース