那須川 日本人トップ2位 肉食系美人が世界陸上名乗り

[ 2012年11月19日 06:00 ]

横浜国際女子マラソン日本人最高の2位でゴールする那須川瑞穂

横浜国際女子マラソン

(11月18日 横浜市・山下公園発着 スタート時の天候=晴、気温16度、湿度41%、北北東の風4・3メートル)
 肉食系美人ランナーが大舞台に名乗りを上げた。来年のモスクワ世界選手権の選考会を兼ねて行われ、那須川瑞穂(32=ユニバーサルエンターテインメント)が2時間26分42秒で日本人トップの2位に入った。女優・松嶋菜々子似の32歳は、今大会に向けた合宿で子牛1頭分に匹敵する肉を食べて激走。代表決定の2時間24分切りには届かなかったが、有力候補に浮上した。2時間23分7秒の大会新記録でリディア・チェロメイ(35=ケニア)が優勝した。

 優勝したチェロメイに約1キロも差をつけられたが、那須川の表情は輝いていた。強風でタイムは自己ベストの2時間25分38秒に及ばなかったが、40キロ付近で伊藤を突き放し、世界選手権代表の有力候補に。「力を出し切るレースができて、凄くスッキリしています」。帽子をかぶってダウンを着ると、人気ドラマ「家政婦のミタ」の松嶋菜々子に似ていると言われたことのある32歳が、美しく笑った。

 高校卒業と同時に高橋尚子さんらを育てた小出義雄氏に師事。09年東京マラソンで優勝したが、食が細く完璧な練習をこなせず、その後は結果を残せなかった。7月からの米コロラド州ボルダー合宿で食生活を改善。3食全てに肉が並び、朝から300グラムのステーキならぬ“肉の塊”を食べたことも。「合宿で子牛1頭くらいの肉を食べました」と振り返った。

 肉食系に変貌すると、40キロ走を終えた直後でも食欲を抑えられないほどに。小出監督から出された練習メニューを、ドラマの名セリフ「承知しました」とばかりに完遂して横浜で激走した。視界に映るのは来夏の大舞台。「練習をこなせるだけの体と精神力を準備していきたい」。代表に選ばれることを信じて、美人ランナーがまた汗を流す。

 ◆那須川 瑞穂(なすかわ・みずほ)1979年(昭54)11月22日、岩手県水沢市(現奥州市)出身の32歳。水沢南中で陸上を始め、花巻南高から積水化学に進み、小出監督の指導を受け、アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)に移籍した。04年1月の大阪国際で初マラソン、09年3月の東京は2時間25分38秒の自己ベストで優勝。1メートル64、45キロ。

 ≪小出監督が太鼓判≫名伯楽も万感だ。レース後、那須川がサプライズで用意していた金メダルのチョコレートをかけられた小出氏は、「なっちゃん(那須川)良かったねぇ~」と満面の笑みを浮かべた。同氏は大の酒好きだったが、昨夏に肝硬変の一歩手前という症状に陥ったために禁酒。那須川が来夏の世界選手権に出場すれば、03年パリ大会の千葉真子以来、10年ぶりに世界大会にマラソン選手を送り込む。「なっちゃんは(2時間)21~22分の力はある」と潜在能力の高さに太鼓判を押していた。

 ▽世界選手権の女子マラソン選考 枠は5。国内選考レースは横浜国際の他に来年1月の大阪国際、同3月の名古屋ウィメンズ。2時間24分を切った日本人トップの選手は代表に決定。来春のボストン、ロンドンで2時間24分を切った選手は代表候補となる。条件を満たす選手がいない場合、8月の北海道を含めた国内4大会の日本人3位以内から選考する。

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2012年11月19日のニュース