把瑠都 関脇転落“しんどい”10勝 大関復帰はイバラ道

[ 2012年11月14日 06:00 ]

2日目に松鳳山(手前)にすくい投げで敗れた把瑠都は左大腿二頭筋筋挫傷で3日目から休場となった

大相撲九州場所3日目

(11月13日 福岡国際センター)
 カド番の大関・把瑠都の関脇への転落が決定的となった。把瑠都は13日、日本相撲協会に「左大腿二頭筋筋挫傷で約3週の安静加療を要す」との診断書を提出し、休場した。師匠の尾上親方(元小結・浜ノ嶋)によると再出場は厳しく、来年1月の初場所は関脇へ降下する見通しだ。陥落の翌場所に10勝を挙げて大関復帰を果たした前例はあるが、険しい道が待ち受ける。同じくカド番の琴奨菊と琴欧洲はともに勝って白星先行させた。
【取組結果】

 史上初めて3大関がカド番で臨んだ場所で、早くも脱落者が出た。2日目の松鳳山戦で左太腿裏を痛めた把瑠都は3日目から休場した。患部は内出血しており、この日、精密検査と治療のために帰京した。再出場せず治療に専念する方針で、来場所で関脇に転落することが決定的となった。2場所連続負け越しで大関から転落すれば09年九州場所の千代大海(現佐ノ山親方)以来となる。

 把瑠都と話し合った尾上親方は「他の部位に比べ恐怖心が残る。無理して(再出場して)悪化したり、他のところが悪くなっても…。一生懸命に治療して来場所を目指す方がいい」と説明した。秋場所は右足親指剥離骨折で4日目から休場。その患部をかばったことで左足に負担がかかって負傷につながったとみて完治を優先させる。

 日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は「突っ立ったまま相撲を取っている。下半身を強化するべきだ」と発奮を促した。しこの踏み方についても「しっかりと腰を割っていない。あれでは鍛えていることにならない」と指摘。「一時は横綱に近づいただけに残念。もう一度大関としての相撲を取るためには完璧に治した方がいい。一番の問題は本人の精神的な部分だ」と苦言を並べた。

 陥落の翌場所に10勝を挙げれば大関に復帰できる。04年九州場所に陥落しながら05年初場所に11勝4敗で復帰した玉ノ井親方(元大関・栃東)は「ケガだから。落ちても、じっくり治すのが大事。力がないわけじゃない」とエールを送った。しかし99年九州場所に陥落して00年初場所で10勝を挙げて返り咲いた音羽山親方(元大関・貴ノ浪)は「大関に上がるときより、10勝するのはしんどい。がむしゃらに新大関に挑むのと、絶対に10勝しなきゃいけないというのでは、緊張の度合いが違う」と振り返る。待ち受けるのはイバラの道だ。「エストニアの怪人」が苦境に追い込まれた。

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2012年11月14日のニュース