日馬もう綱初黒星 連勝32でストップ「負けは負け」

[ 2012年11月13日 06:00 ]

隠岐の海(左)に敗れ土俵下に座り込み悔しがる日馬富士

大相撲九州場所2日目

(11月12日 福岡国際センター)
 新横綱・日馬富士が平幕の隠岐の海に小手投げで不覚を取り、2日目にして早くも土がついた。2年前に白鵬の連勝が63で止まった同じ九州場所2日目に敗れ、自身の連勝も32でストップ。内容も横綱相撲とはほど遠いもので、28歳の第70代横綱が試練を迎えることになった。白鵬は先場所敗れた平幕の栃煌山をはたき込んで2連勝。大関陣はカド番の把瑠都が敗れたうえに、取組中に左膝を悪化。3日目の出場が厳しい状況に追い込まれた。
【取組結果】

 土俵下で尻もちをついた日馬富士は悔しさをかみ殺すように一度は歯を食いしばったが、すぐに首をひねった。横綱として迎える初の結びで、まかさの敗戦。うつむいたまま花道を引き揚げると、いつもは15分ほどで済ませる入浴時間も、この日は5分延長。風呂場で気持ちを落ち着けて横綱の定位置である支度部屋の最奥に座ると、最高位の力士として、こう言った。

 「なんだかんだ言っても勝負事。負けは負け。勝ちは勝ち。きょうは僕の負け。気持ちを切り替えて、あしたは集中していきたい。以上です」 

 隠岐の海は全勝優勝した先場所で最も苦しめられた相手。当然、10月の秋巡業中の稽古で指名したが、常に圧倒していた。「余裕で勝てると思った」と明らかに慢心があった。21キロも重い相手に生命線である鋭い立ち合いを止められ、がっぷり四つの体勢に。苦し紛れに打った強引な左下手投げが墓穴を掘った。腰が引けるような体勢をつけ込まれ、最後は小手投げで決められた。審判団から物言いはついたが「僕の方が先に落ちた」とすぐに負けを認めた。

 2週間前に福岡入りしてからも協会の看板として連日イベントに追われた。「自分がやるべきことはやった」と稽古ができない日は夜でもまわしを締めて四股を踏んだ。集中力を高めるために稽古場で趣味の油絵に没頭することも。一人キャンバスに向かって富士山や朝日を描き切ったが、土俵では自らのイメージ通りにはいかなかった。

 2年前に白鵬の連勝が63で止まったのも九州場所2日目。何かが起こる因縁の日に横綱初黒星を喫するとともに、自身の連勝も32でストップした。帰り際、隠岐の海について警戒していたか、と尋ねられると「ないない」と強がった。痛恨の黒星を喫し、横綱のプライドを保つことで精いっぱいだった。

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2012年11月13日のニュース