愛璃 2000円ドレスのシンデレラ 繰り上がりで初出場

[ 2012年10月31日 06:00 ]

急きょ購入したドレスでレセプションに出席した斉藤愛璃

 国内唯一の全米女子プロゴルフ協会公式戦で、日本ツアーも兼ねる「2012ミズノクラシック~伊勢志摩~」(スポニチ主催)は11月2日から3日間、三重県志摩市の近鉄賢島カンツリークラブ(6506ヤード、パー72)で開催される。ウエーティング2番目だった斉藤愛璃(22=程ケ谷CC)は30日、欠場者が出たため繰り上がりでの大会初出場が決定。選手歓迎レセプションの衣装を急きょ現地で調達し、世界のトップ選手に挑む。

 年頃の女性にとって、それは大きな問題だった。選手歓迎レセプションで着る服がない。ウエーティング2番目で出場が回ってきた斉藤は、この日の練習を終えると車を走らせた。向かった先は衣料品の量販店だった。

 「練習のつもりで来たので…。服を持ってきませんでした」

 前夜、自宅がある神奈川県厚木市から愛車で三重県志摩市にあるコースまでやって来た。心は練習気分で。というのも、富士通レディース終了時点での賞金ランク上位35人しか出られないエリート大会。前週までに同ランク40位まで出場権は降りてきていたが、斉藤は42位。自分に出番は回ってこないだろうと、美人ゴルファーは“勝負服”を準備し忘れていた。

 ところが、李知姫とヤング・キムの欠場で菊地絵理香とともに繰り上がったから、うれしい誤算。華やかなレセプションに失礼のない最低限の衣装を調達すべく、かつて聞いた先輩プロの「困った時は量販店」という助言を頼りに「予算は2000円です」と勇んでショッピングに出掛けた。

 コースを出てから約3時間後。宴に姿を見せた斉藤は、黒いワンピースをまとった美女に変身していた。「予算に収まった?」の質問に「予想以上に」とニンマリ。しかし、そのまばゆい輝きはプライスレスだ。

 海外の試合に出場したことがなく、世界レベルの選手が大挙する試合を経験するのはプロになって今回が初めてとなる。この日の練習ラウンドでは18ホールを回り「グリーンが難しい。乗せる位置が難しいけど、向こうの選手はバーディーを取ってくると思う」と印象を語った。それでも「アンダーを出していきたい」と臆せず攻めることを第一目標に掲げた。量販店から世界の舞台へ――。今季の開幕戦勝利で一気にブレークしたシンデレラガールが、日米両ツアーのトップ選手を相手に腕を試す。

 ◇斉藤 愛璃(さいとう・あいり)1989年(平元)12月6日、神奈川県厚木市生まれの22歳。8歳でゴルフを始め、厚木南毛利中3年時に日本ジュニア5位。厚木北高2年でナショナルチーム入り。卒業後は程ケ谷CCで研修生となり、10年にプロ転向。昨年のプロテストは3度目の挑戦で合格。同年の予選会で31位に入り、今季はツアー本格参戦1年目で、開幕戦のダイキン・オーキッド・レディースで初優勝を飾った。得意クラブはパター。1メートル65、55キロ。

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